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【優秀賞】コベルコ建機 五日市工場

人からラインを考える
木下 章氏 (コベルコ建機 取締役 常務執行役員グローバルエンジニアリングセンター(GEC) センター長)

─―油圧ショベルを造る五日市工場の大きな特徴が、ラインの最初から最後までを連続的なラインにする「直結ライン」の導入にあります。なぜこのようなラインにしたのですか。

木下氏:仕掛かり在庫を徹底的に減らすためです。五日市工場を含め日本は海外に比べて土地代が高い。日本で工場を運営するためには、工場の面積効率を最大限に高める必要があります。仕掛かり在庫を置く場所は基本的にないと考えました。

 いいことずくめではないことは百も承知です。いずれかの工程でトラブルが起きたらラインがすべて止まるというリスクがあります。それでも、止めるときは止めて不具合の原因をつぶしていきました。現在では、ラインが稼働する8~9時間のうち、止まっている時間は約20分と、全体の5%程度に収まっています。

 直結ラインを導入した副次効果として、工場従事者の集中力が高まりました。自らが担当する場所で何か不具合が起きたらライン全体が止まってしまうという緊張感を各自が持つようになったからです。

―─五日市工場はクリーン化の取り組みでも先行しています。

 木下氏:五日市工場のスローガンは「スマート&クリーン」です。『日経ものづくり』で紹介された「徹底した粉じん対策」は、「クリーン」化に向けた取り組みです1)。油圧ショベルのトラブルの主な原因であるほこりをシャットアウトすることで、実際に市場でのクレームが急減しています。

〔以下、日経ものづくり2014年1月号に掲載〕

木下 章氏
木下 章氏

参考文献:1)「強い工場」取材班,「徹底した粉じん対策で最高品質、社内検査での不具合件数が1/50」, 『日経ものづくり』,2013年5月号,pp.38-41.