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開発の鉄人 ものづくりを語る
第8回・モータなんて大げさだ


モータといえばアクチュエータのデ・ファクト・スタンダードだ。ストロークの短いちょっとした動きにまで使う。量産していて安いので気付きにくいのだが,考えてみるとオーバースペックだ。形状記憶合金を使えばそれは解決する。長い助走期間を経て開発してきた形状記憶合金。そろそろ実用の段階が近づいてきた。

 小さなロボットというのかな,クレーンの模型というのかな。トキ・コーポレーション(本社東京)が販売している「サイレントアームSA-01」をご覧いただこう。どうして「サイレント」かというと,モータもギアも使っていないからだ。同社が作る形状記憶合金のワイヤ「バイオメタル・ファイバー(BMF)」の伸縮を利用して音もなく動く。そろそろと動くのではない。ピピッと反応する。形状記憶合金の特性を十分に引き出した製品といえる。

 「製品」といってもホビー向けに出荷している程度のこと。別に何を運ぶというものでもないんだけどね。トキ・コーポレーションはもっと大きな用途を狙っている。この製品は本格的な用途に向けたプレゼンテーションのための道具でもあるんだ。

多喜義彦氏
1951年生まれ。1988年システム・インテグレーション設立,代表取締役に就任し現在に至る。現在40数社の顧問,NPO日本知的財産戦略協議会理事長,宇宙航空研究開発機構知財アドバイザー,日本特許情報機構理事,立教大学大学院講師などを務める。