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米QUALCOMM Inc.との話し合いも無事に終わり,日本に戻ってきたKDDIの開発陣。サービス開始に向けていよいよ動き始めた。まず優先しなければならないのがオーサリング・ツールの開発。このツールなくして,着うたフルのサービスの目玉に据えた音楽の一部を切り出す機能は実現できない。想像以上に困難な作業が開発陣を待ち受けていた。

 携帯電話を使った音楽配信を実現する上でどうしても必要だった,圧縮効率の高い符号化方式。KDDIは,着うたで使用していた符号化方式「AAC」の進化形「HE AAC」を最優先候補に定めた。渡米したKDDIの開発陣は,米QUALCOMM Inc.に対して「近々リリースを予定するチップセットをHE AAC対応にしてほしい」と伝えた。明確なリリース時期の確約は得られなかったものの,KDDIはQUALCOMM社との話し合いの中で確かな感触をつかんで帰国した。

 日本に戻ったKDDI研究所 マルチメディア通信グループの酒澤茂之は早速,音楽データを符号化するオーサリング・ツールの開発に着手した。渡米する直前にKDDI コンテンツ・メディア本部の上月勝博から打診を受けていたためだ。酒澤と上月はEZムービーのサービスが始まったころからの付き合いで,一緒に仕事を始めてからかれこれ2年近くになっていた。会社は違えどEZムービー,そして着うたの開発と,仕事を共にしてきたため,同じ開発チームという意識と信頼関係が2人の間には既に築かれていた。そのため,上月から着うたフル向けのオーサリング・ツールの開発を要請された時,酒澤は二つ返事で了解した。