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太田 亮
オリンパス
研究開発センター
MEMS開発本部 MEMS事業推進部
プロセス開発グループ

光ファイバによるインターネット通信サービスの普及によって,低コストの光通信デバイスに対するニーズが高まってきた。それを支えるコア技術が光MEMS(micro electro mechanical systems)である。MEMS技術による大幅な小型化によって材料コストを削減し,低コスト化を実現する。今は光通信デバイスを扱うのは主に通信事業者だが,いずれは各家庭,個人が持つようになる。2001年のITバブル崩壊から4年,光MEMSデバイス市場は在庫調整が進み,復活の芽が見えてきた。光MEMSで企業価値を高めようとするオリンパスが,光通信デバイスの実用化につながる光スキャナの開発事例を中心に紹介する。

 MEMS(micro electro mechanical systems)技術を光学デバイスに応用して製品化した事例を紹介する。われわれは,2003年3月に「MEMS開発本部」を設立し,MEMS技術の導入によって企業価値を最大化する戦略を掲げている。

 この戦略では,次の三つを実践していく。(1)光MEMSデバイスでナンバー・ワンの技術力を持つこと,(2)既存事業をMEMSで差異化し高収益を挙げること,(3)MEMSファンドリ事業など新規事業を立ち上げることである。このうち(1)については,顕微鏡向けに光MEMSデバイスをすでに実用化し,さらに光通信用デバイスの開発を進めている。(2)については,MEMSを使って小型,高信頼性,高精度,低消費電力,低コストの光学デバイスを開発し,この搭載によって顕微鏡の高付加価値化に成功している。(3)のMEMSファウンドリ事業は,2002年2月より進めており,光デバイス向けを中心に問い合わせ件数では,150件以上の実績がある。その一部は試作・生産まで進んだ。

 光MEMSは,光学素子,機械部品,電子部品を1部品に統合化する技術と言える。例えば,バーコード・リーダーなどに使う光スキャナでは,光学素子のミラー,それを支える機械部品のトーション・バー(支持棒),それを駆動するための電子部品のコイルなどが含まれる。MEMSデバイスは,それまで別々だった部品を一体化してセットの要求仕様に合わせるので,セットの付加価値や競争力を高めることができる。半導体を産業の「コメ」とするなら,MEMSデバイスは産業と製品の「かなめ」と言えるだろう。