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 2004年9月24日,送電線に雷が落ち,電力系統が瞬断した。しかし,三重県にあるシャープの液晶パネルの最新鋭工場である亀山工場では瞬停システムが動作し,生産ラインの停止を免れた。ここに導入されていたのが,中部電力が開発した超電導を使う瞬停システム「超電導電力貯蔵システム(SMES)」である。

 SMESは超電導体のコイルにためておいた電気エネルギーを落雷などの際に放出し,電力系統の電圧低下を生産ライン側に伝わらないようにする電圧補償装置である。2003年に実証試験するため亀山工場に設置してから,この日初めて製造ラインが停止するほどの電圧低下の危機を防いだ。

 SMESは,鉛蓄電池やNaS電池など工場で使う従来の瞬停システムに比べて,装置の小型化が図れ,しかも30年間にわたり安定して使える。そして,この日,実用の環境の中で有効に動作することを証明したのである。

 ここ最近,SMESだけではなく,超電導体を使ったシステムの試作が相次いでいる。例えば,リニアモーターカー用の超電導コイル,鉄道用トランス,船舶用モータ,送電線などである。限られた分野ではあるが,超電導の工業利用がいよいよ現実になってきた。