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 5年後の携帯電話機を担う要素技術の提案が相次いでいる。RF(無線)回路やディスプレイを極限まで安く,小さくするデバイス技術,多様な信号の通信をもたらすセンサー技術。そして,これらをできるだけ高密度に詰め込む実装技術である。これらに共通する技術の有力候補としてMEMS(micro electro mechanical systems)に注目が集まっている。MEMSは,現行の延長上にはない非連続のデバイス技術であり,携帯電話機の機能に劇的な変化をもたらす可能性がある。

【全体動向】次世代機に載る“非連続デバイス”
主役はMEMS,実装でも活躍

次の5年間に携帯電話機に載るデバイスの種類がガラリと変わる。携帯電話機は,高速かつ常時接続のデータ通信やテレビ受信を前提に,これまで以上の多機能化を進めていく。そうした進化に対し,RFデバイス,ディスプレイ,センサー,メモリーなどが,劇的な変化を求められている。その変化に対応すべく,既存デバイスから“非連続デバイス”へと,開発の重点が変わり始めた。そこで主要な役割を果たすのがMEMS(micro electro mechanical systems)技術だ。その有無がデバイス事業の参入条件を左右し,業界地図を塗り変える可能性もある。

【センサー】加速度センサーなど続々搭載
次はオン・チップ化に挑む

加速度センサーや地磁気センサーなど,カメラ以外のセンサーを携帯電話機に載せる試みを携帯電話機メーカーが始めている。今は試行錯誤の段階と言えるが,2010年までには多種多様のセンサーが標準的に載る可能性が高い。そこでは, MEMS(micro electro mechanical systems)技術を使ったセンサーを,CMOS回路と低コストに融合する技術が,デバイス・メーカーの競争力を左右する。そうした融合技術の事例として,MEMSセンサーのワン・パッケージ化とオン・チップ化に向けた最新技術を紹介する。

【ディスプレイ】低消費電力,低コストのMEMS
液晶パネルの脅威に

携帯電話機に,液晶パネルだけではない多様なディスプレイが使われる可能性が出てきた。携帯電話機の多機能化によって生まれる消費電力やコストに対する新たな要求に応えるために,液晶パネル以外の選択肢が浮上してきたからである。そうした候補として,開発の進んでいる有機ELに加えMEMS技術を使ったディスプレイが登場する。携帯電話システムの開発企業である米QUALCOMM Inc.が製品化を1~2年以内に始める。さらに10年後の実用化に向けて,視覚だけではなく触覚などに訴える「五感通信」を可能にする開発も進み始めた。

【RF回路】複数の周波数に対応する
“ソフト”なチップが登場

携帯電話機を構成するデバイスのうちRF(無線周波)デバイスが,MEMS(micro electro mechanical systems)技術によって変革を遂げる可能性が見えてきた。従来の受動部品では難しかった「キャパシタ容量などのパラメータを可変にする」という特性を可能にするからである。今後携帯電話機で求められる複数のRF周波数に対応可能なRF回路を,大規模化することなく,一つの回路で実現できるようになる。実用化には課題が多いが,ここへ来て要素技術の開発が急ピッチで進み始めた。