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「コンピューティングで50年に一度のパラダイム・シフトを起こしたい」。2001年3月,ソニー取締役副社長の久多良木健氏がこのように宣言し,開発を始めた新型プロセサ「Cell」が,その姿を現した。ソニー・グループ,米IBM Corp.,東芝が,「2005 International Solid-State Circuits Conference(ISSCC 2005)」における共同発表で「Cell」チップを披露,その技術的な特徴を明らかにした。最初のアプリケーションは明らかにされてはいないが,久多良木氏の野望は既存の枠を超えたところにある。Cellを活用したコンピューティングの進化により,「人の能力を超越するさまざまな処理を実現する」(同氏)と言う。

 「LSI回路設計技術の勝利」。今回発表された「Cell」に対する技術者の評価を集約すると,このような表現になる。発表内容からはプロセサのアーキテクチャや製造プロセスに目新しさはないが,「相当な開発リソースを割いて回路設計を最適化しないと,ここまで高性能で低電力のチップを実現できない」と,大手LSIメーカーの回路設計技術者は舌を巻く。

製造プロセス●
SOI,ひずみSi駆使しつつ量産性重視

 高性能化を至上命題とする「Cell」は一見,最先端のプロセス技術を詰め込んでいるように見える。実際,90nmノード(hp130)のSOI(silicon on insulator)技術に,独自のひずみSi技術を組み合わせるなど,通常のプロセス技術に比べれば,かなり手が込んでいる(図4)。しかし,その一方で確実な量産立ち上げを実現するために,シンプルなプロセス作りを追及している点も見逃せない。

アーキテクチャ●
徹底的なソフト化で性能/電力を向上

〈インタビュー〉
村上 和彰,井上 弘士,吉松 則文
九州大学 大学院システム情報科学研究院
 「Cell」のアーキテクチャがついに明らかになった。Cellは「プレイステーション2」の心臓部である「EE(Emotion Engine)」の後継機に当たり,次世代ゲーム機などに搭載されると見られる。しかし,その狙うアプリケーションはゲーム機を越えたところを見据えた野心的なものであることが,アーキテクチャから読み取れる。

コンピューティングに革新もたらし
人間の能力を超えた世界を作り出す

〈インタビュー〉
久多良木 健 氏
ソニー 取締役副社長