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直言
生産量の減る産業で
技術レベルが上がる不思議


 仕事柄全国を旅することが多く,各地で自慢の日本酒を頂いて感動している。全国の日本酒を飲み続けていると,この15年ほど,レベルが年々上がっていることに気付く。錯覚ではないのかと思うほど,各蔵元の日本酒は確実に前年よりもうまくなっている。全国の消費量が年々減少しているといわれながらも,確実にレベルが上がっているのである。


 一般に衰退産業の場合,競争圧力は減少し,技術レベルは下がると思われている。私は必ずしもそうは思っていないのだが,日本酒は衰退産業と思われている。消費量の減少を見る限り,そういわれても仕方がない。


 それなのにレベルが上がるのはなぜか。各地の蔵元を訪問し,いろいろな酒をたしなみながら考えてきた。結論として「一見衰退している状況だからこそ,レベルが上がる」ということに気が付いた。


一橋大学大学院教授

関 満博

1948年生まれ。成城大学大学院博士課程修了。専修大学助教授などを経て,1998年から一橋大学教授。主な著書として『現場主義の知的生産法』など。