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ハード・ディスク装置(HDD)は,民生機器から産業機器まで実に多くの機器に搭載されている。HDDがひとたび故障すれば,その被害は計り知れない。ところが,HDDは注意して扱わないと壊れやすいにもかかわらず,一般ユーザーはHDDを使っているという意識が薄く,機器の開発者もHDDを搭載する機器を設計した経験が豊富ではない。この結果,HDDの故障事例が水面下で増加している節がある。HDDの故障解析を手掛けるソルナックには,機器メーカーからの依頼が増える傾向にあるという。故障の原因は部品の劣化や摩耗,組み立て工程で混入したとみられる異物などさまざまである。故障の中には,機器メーカーの用心で防げるものが少なくない。今回は実際の故障解析結果を基に,HDDを機器に組み込む上での留意点を解説する。 (河合 基伸=本誌)

舘 健治
ソルナック 代表取締役

 ハード・ディスク装置(HDD)の大容量化や低価格化,小型化が進んでいる。こうした変化はDVDレコーダやカーナビ,携帯型音楽プレーヤなどのデジタル家電へのHDDの搭載を促した。民生機器だけでなく,複写機や現金自動預け払い機(ATM),キャッシュ・レジスタなどもHDDを搭載しており,今やHDDは一般ユーザーに身近な存在になりつつある。HDD内にはさまざまなデータが大量に蓄えられており,HDDにひとたび問題が発生した場合には,その被害は甚大である。

 実際にはHDDは慎重に取り扱わないと壊れやすい繊細な装置だ。HDDは記録媒体やヘッド,スピンドル・モータ,電子部品などさまざまな部品から成る。一般に部品点数が多いほど故障の確率は高まる。しかもそれぞれの部品は異なる分野の技術で作られており,故障の原因が多岐にわたる。例えばヘッドには半導体製造を超える微細加工技術が,記録媒体やスピンドル・モータには潤滑剤や潤滑油などの化学技術が使われている。

 HDDの用途の中心がパソコンやサーバ,ストレージ装置だったころは,HDDを注意して扱うべきことは技術者の常識だった。ところが最近では,一般ユーザーはHDDを使っているという意識が薄く,機器の開発者もHDDを搭載する機器を設計した経験が豊富ではない。HDDは繊細なものだという認識で扱ってきた時代とは,状況が大きく変わっている。