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変形するミラー・デバイス。それをLSI上に実現しようという取り組みに着手した米Texas Instruments Inc.のLarry J. Hornbeck。実現すれば,プリンターやプロジェクタなどさまざまな応用先があり得る。しかし,全く新しいデバイス開発であることから思うようには進まない。製品化の可能性が見えないまま10年の歳月が過ぎようとしていた。

「もともと,発想そのものに無理があったのではないか…」

 可動する微小ミラーを使って光の進行方向を制御するデバイス。このミラーの角度を電気的に制御して,それをプリンターに応用しようというのが,米Texas Instruments Inc.(TI社)でミラー・デバイスの研究を進めていたLarry J. Hornbeckの狙いだった。

 光学技術にたけていたLarry。TI社には優秀なスタッフもそろっている。そして優れた半導体プロセス技術もある。当時としては,画期的なデバイスが誕生する…はずだった。

 しかし,事はそう易しくなかった。Larryが当時期待をかけていたカンチレバー型のミラー・デバイスは,ミラーの角度の安定性を保つのが非常に難しかったのである。