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米Texas Instruments Inc.(TI社)のLarry J. Hornbeckらの努力によってミラー・デバイスの実用化がだんだんと近づいてきた。アナログ方式からデジタル方式への大転換を成し遂げ名称も「DMD(digital micromirror device)」と決まる。次にやるべきは,このDMDの魅力を機器メーカーに訴え,採用を働き掛けること。TI社のスタッフはデジタル家電メーカーのメッカである日本へと乗り込むことを決める。

 1993年,東京・北品川。JRの五反田駅と品川駅をつなぐ「八ツ山道り」。タクシーやバスがひっきりなしに行き交うこの幹線道路の歩道橋の上に,米国・ダラスから来た男たちが立っていた。米Texas Instruments Inc.(TI社)で,DMD(digital micromirror device)の応用開拓を目指す社内ベンチャーのスタッフたちだ。

 TI社のLarry J. Hornbeckが心血を注いで開発したDMD。その将来性が見込まれ,中央研究所の一研究テーマから,社長直轄の社内ベンチャー・プロジェクトにまで昇格していた。これまでとは比較にならないほどの人材と資金の投入によって,開発も一気にスピードアップした。1993年当時で,HD画質(1080p)のDMDの試作にまでこぎ着けていたのだ。