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プロローグ 突破か,さもなくば没落か
 「米国政府が2004年末に『National Innovation Initiative』という報告書をまとめ,日本の経済産業省が2005年2月に『技術革新を目指す科学技術政策』を掲げた。日米がそろって『革新』をテーマにし始めた。国だけでなく,企業や技術者個人としても,革新の必要性を感じている」(ある部品メーカーの技術者)。
 エレクトロニクス産業の行く手に分厚い壁が立ちはだかっている。壁はいくつもあり,それぞれが登攀とうはんを拒むかに高い。先頭集団の一角を成す日本企業に,壁は見る見る迫ってくる。すくんで立ち止まると,後ろから迫るライバルにやられる。取るべき手は1つ。壁に穴をうがち,自ら道を切り開くしかない--。

第1部
革新創る技術者の「大志」
先行事例に共通する秘訣

これまでにブレークスルーを生み出したグループには,共通する要素がある。「技術者を熱くさせる高い目標」「専門の分野で高い能力を持つ技術者たち」「必要な人材を必要なときに確保できる組織の柔軟性」「開発が長期間にわたっても目標を達成するまであきらめない継続性」である。先行事例の中には,会社側の支援を待たずに独力でこうした要件を実現した場合や,偶然好条件がそろったものが少なくない。これらの条件を組織的に整えれば,大きな成果がより生まれやすくなるはずだ。

第2部
組織・制度は脇役に徹す
成果主義の見直し始まる

画期的な技術や製品を開発するには何が必要か。技術者は迷うことなく「熱意」が最も重要と答える。ただし,熱意を高める制度の構築は容易ではない。近年急速に普及した成果主義が,必ずしもうまく機能していないことからも明らかだ。メーカーはあの手この手で制度の見直しや新設を進める。画期的な開発をどのように評価し,革新を生める組織をいかにして構築するのか。その答えは試行錯誤の中から見つけるしかない。