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前回はLSIの電源電圧(Vdd)を制御してリーク電流を低減する手法を解説した。今回は,基板バイアス電圧を変えることで間接的にしきい値電圧を制御し,リーク電流を減らす手法を紹介する。Vddを制御する方法に比べて遅延時間の増加といった悪影響が少ない。(宇野 麻由子=本誌)

桜井 貴康
東京大学
国際・産学共同研究センター 教授

 リーク電流の中でも特に深刻なサブスレッショルド・リーク電流は,しきい値電圧(Vth)の指数関数で表せる。したがって,Vthを制御できれば,リーク電流による消費電力を効果的に抑えられる可能性がある。これを実現するのが可変しきい値電圧(variable threshold voltage CMOS:VTCMOS)方式である。基板バイアス電圧を用いて間接的にVthを制御する。

 nMOS,pMOSトランジスタのそれぞれで,ソース-基板間に印加する基板バイアス電圧を変えることにより,しきい値電圧を制御できる。以下ではnMOS,pMOSトランジスタの基板バイアス電圧をそれぞれVbs-n,Vbs-pで表し,しきい値電圧をそれぞれVth-n,Vth-pで表す。現在の典型的なCMOSプロセスでは,nMOSトランジスタはp基板の上に,pMOSトランジスタはnウエルの上に作る。LSI中でpMOSトランジスタのウエルは,複数に分離して配置できるので,それぞれに対してソース-基板間の電圧を変えられる。つまり,LSI中で複数の異なる基板バイアス電圧を設定できる。