「へえー。これがあのDMD」
「光学系まで作り込んである!エンジンとは,これのことか--」
1995年10月。大阪・住之江区の国際見本市会場「インテックス大阪」。エレクトロニクス業界で最大のイベントである「エレクトロニクスショー」の会場で,3人の男たちが,半ば熱にでも浮かされたように展示物を凝視していた。米Texas Instruments Inc.(TI社)のブースに設置されていた,DMD(digital micromirror device)利用のフロント・プロジェクタである。
TI社はこのエレクトロニクスショーで,DMDの開発パートナーを探すことに力を入れていた。試作したばかりの 576×768画素のDMDと,それを2個使ったPAL方式のリア・プロジェクション型ディスプレイを出展し,国内メーカーに向けた強烈なアピールを行ったのである。加えてフロント・プロジェクタ用のシステムも展示し,実際に映像を投影して見せた。