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 「90nm世代以降,トレンドが変わった。技術が多様化し,用途ごとに最適な技術が必要になりつつある。これまでのような万能のCMOS技術は望めなくなる」(東京大学 大学院 新領域創成科学研究科 基盤情報学専攻 教授の高木信一氏)。

 今から2010年にかけて,CMOS技術は大きな変革期を迎える。微細化によって,集積度とトランジスタ性能の両方を同時に向上できるのが,これまでCMOS技術の真骨頂といえた。ところが,いよいよ微細化だけではトランジスタ性能を高めることが難しくなった。微細化を進めてもMOSトランジスタのしきい値を下げられないので動作速度をこれまで通りのペースで引き上げることが難しくなる。さらにリーク電流が増すため消費電力の増大に拍車が掛かる。このまま手をこまぬいていては最先端の設計ルールを適用してもチップが小さくなるだけで,動作周波数の向上や消費電力の低減はほとんど望めない事態になりかねない。

 目前に迫るこうした危機を回避するために,半導体メーカーは今後,矢継ぎ早に新技術を投入していく。MOSトランジスタにおける電子や正孔を動きやすくしてスイッチング速度を高める,リーク電流の原因を新材料の導入で抑え込む,といった具合である。