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日経ものづくり 中国的秘密・日本的秘策

第8回
続・たかがねじ,されどねじ
安さには安いなりのワケがある

コスト削減を極めるべく,日本メーカーが中国製のねじを使う機会が増えている。だが,中国には投資を目的とし,最低限以上の品質には気を使わないねじメーカーが多いという現実がある。それを知らずに手を出すと,客先でトラブルが発生し,その対策費用でコスト削減分が吹っ飛ぶ可能性もある。入念な品質検査が必要だ。 (本誌)

遠藤 健治 海外進出コンサルタント


 合法とはいえ,先進国のメーカーの技術をまねした部品(合法模倣品)の使用にはリスクが付き物。分かってはいても,つい価格の安さに引かれ,そうした部品に手を出して後悔する日系メーカーが今なお後を絶ちません。「何ごとも経験」などとのんきなことを言ってはいられないのです。
 しかし,日本中のメーカーがコストを重視する今日では,多少リスクがあったとしても,それをうまく回避しながら中国製の合法模倣品を積極的に使っていく必要があります。使わなければ,コスト競争に勝てないといっても言い過ぎではありません。こうしたコスト競争が続くことは,付加価値の高いものづくりを目指す日本メーカーにとって望ましいこととは思えませんが,競争激化の時代の流れにはなかなか逆らえないというのが実状です。ただし,中国製の合法模倣品を使うには,しかるべき努力や労力が必要となります。
 実は,私がかつて働いていた電子機器メーカーも人のことは言えません。ある日本メーカーの技術をまねた中国製ねじの価格の安さに目がくらみ,それに飛び付いたら,後々大金を投じる羽目に陥ったことがあるのです。

1通のファクスと写真
 ある日,私のところに1通のファクスが届きました。あるコンピュータ関連メーカーのフィリピン工場から送られてきたものです。そのファクスにはこう書かれていました。「最近,私たちの工場で部品が脱落する不良が多発しています。調査したところ,貴社の製品のねじが折れ,それにより部品が外れているようなのです。写真を添付しますので,至急,対応をお願いいたします」。
 とてもシンプルな文面なのですが,このファクスに添付された写真を見ると,とんでもない問題をはらんでいる予感がします。写真には折れたねじの頭と,ねじが折れたことで本体からはがれ落ちた部品が写っていました。ただごとではないと感じた私は,すぐにそのファクスを持って生産技術部長のところへ飛んでいきました。