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日経ものづくり 開発の鉄人

第15回 「至れり尽くせり」に価値がある

「開発の鉄人」こと 多喜 義彦

ボタンという“旧態依然”に見える商売にも成功者はいる。
アイリスという会社は,ボタン用の染料で収益を上げている。
これが,実は他社の染料をブレンドして売る仕事だ。
ブレンドする「だけ」と思ってはいけない。
ブレンドそのものに価値があれば,ユーザーは喜んで金を出す。
技術指導を含めた「至れり尽くせり」に価値がある。


 アイリス(本社群馬県太田市)という会社がある。ボタンの分野では一流で,東京にある浜町営業所の4階には「ボタン博物館」なんてものも持っている。スイッチのボタンじゃなくて,服に付けるボタンだよ。本連載2003年12月号の「たまには『まさか』をやってみろ」に登場した大成プラス(本社東京)の大株主でもある。何しろボタンを造っているんだから,2色成形とか,その辺のプラスチック成形技術には強い(図)。

婦人服のボタンは難しい
 私もこの会社とお付き合いして初めて知ったんだけど,紳士服のボタンと婦人服のボタンは色の付け方が全く違う。紳士服はあらかじめ染めた素材で造り,婦人服は後から染めるんだ。紳士服は種類がそれほど多くなく,ロットがまとまる。だからボタンを成形するプラスチックを練る段階で顔料を入れ,色を付ける。婦人服の方はそれではとても追い付かない。色の種類が多く,ロットが小さい。だから婦人服のボタンは白いままで納め,注文を受けてから問屋さんが染めて出荷する。

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図●アイリスの全自動ボタン加工機