PR
日経ものづくり 材料力学マンダラ

第8巻
ボルト締結部を設計する(II)

広島大学大学院教授 沢 俊行


●ボルト締結体としての機能を遂行することが大前提
●ボルトは緩まないこと,降伏しないこと
●内力係数は0.1。降伏応力の90%で締め付けることと同義


 この夏,ある学会で講演を頼まれました。ボルト締結にかかわる事故について話してほしい,と。実は,この種のテーマの講演依頼は後を絶ちません。裏を返せば,ボルト締結にかかわる事故が後を絶たないということ。ボルト締結の重要性を認識しつつも,その正しい設計法を知る人が少ないということにほかなりません。
 こうしたお寒い現実の責任の一端は,日本の教育機関にもありそうです。残念ながら,ボルト締結のより正しい設計法を教えられる大学は数えるほどしかないのでは…。そこで本稿ではもう一度,ボルト締結部の設計を取り上げます。今回は,前回のT型フランジ締結体よりシンプルな例題を用意しました。基本をもっとクリアに学べると思います。
 その簡単な例題とは,図。実際にはあまり見掛けませんが,外径100mmの2枚の中空円筒を1本のボルト・ナットで締結したもの。締結体外周には軸方向に引っ張り荷重Wが作用しています。さて,問題。「引っ張り荷重Wは0から10kNの間を振動 して作用するとします。この際,接合面には少なくとも10MPaの平均応力が残留することを条件に,この締結体のボルトの強度区分と呼び径d,初期締め付け力Ffを決めてください」。
日経ものづくり 材料力学マンダラ
図●ボルト締結設計の問題
軸方向に引っ張り荷重を受ける中空円筒のボルト締結体。ボルトの強度区分,呼び径,初期締め付け力を求めよ。