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日経オートモーティブ 技術レポート

挟み角8.5°のV4エンジン
直列4気筒より小型・軽量
東海大が開発、中国で量産

東海大学は8.5°という小さい挟み角を持つV型4気筒エンジンを開発した。 通常の直列4気筒エンジンに比べて大幅に小型・軽量化できるのが特徴だ。山形のベンチャー企業が中国でこのエンジンを量産化する予定だ。

 東海大学工学部動力機械工学科教授の林義正氏は8.5°という小さい挟み角を持つ排気量2.0LのV型4気筒エンジン「YR20」を開発した(図)。通常のV型エンジンの挟み角が60°~90°なのに比べて大幅に小さい。これだけ小さい挟み角のエンジンを開発したのは、極力コンパクトなエンジンを実現するため。上から見ると、シリンダを互い違いに配置している。通常排気量2.0L程度の直列4気筒エンジンの場合、長さが540~620mmあるのに比べて、試作エンジンの長さは430mmで大幅に短い。互い違いに並んだシリンダのボアピッチは60mm、2列のシリンダ間の距離は86.04mm、ボア×ストロークは85×88mm。

画期的な小型化を狙う
 一方、V型エンジンで一般な60°~90°のエンジンに比べるとエンジン幅を大幅に抑えられるのがメリット。質量は本体だけで89kgと、通常の直列4気筒エンジンが100kg以上あるのに比べて軽い。シリンダブロックの形状が立方体に近づくため、剛性を高めるのに有利なほか、直列4気筒エンジンに比べると同じシリンダブロックの容積なら表面積が減るため、騒音を抑えるのにも有利で、その分シリンダブロックの肉厚を減らせるからだという。
 また、エンジンが短いとクランク軸も短くでき、ねじり振動が出にくいのもメリット。このためクランク軸を細くできるほか,通常クランクプーリに内蔵するダイナミックダンパを省略できるのでこの面でも軽量化につながる。
 ただし、8.5°という小さい挟み角は二次振動の面で不利なほか、燃焼室への吸入角度が異なるため燃焼状態を各気筒でそろえるのが難しい。後で説明する理由によって、ピストンの首振りも大きくなる。こうした困難を承知で、今回あえて狭角V型エンジンに挑戦したのは、エンジンを画期的に小型化するのが狙いだ。

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図●YR20エンジンの外観
排気側から見たところ。エンジンの幅が通常の直列4気筒エンジンよりやや幅広いが、V型エンジンには見えない。