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日経オートモーティブ イベントレポート

第38回東京モーターショー
尿素SCR?それともDPF?
新長期規制で対応分かれる

最後の商用車ショーの焦点は、排ガス対策。日産ディーゼル工業が尿素SCR(Selective Catalytic Reduction:選択還元型NOx触媒)システムをアピールする一方で、他社は従来技術の延長線上にあるEGR(排ガス再循環システム)とDPF(Diesel Particulate Filter)の組み合わせを主流と見ている(図)。

 商用車ショーとしては最後の開催となった第38回東京モーターショー(一般公開:2004年11月3~7日、日本コンベンションセンター)、は、ディーゼル車の排ガス対策が最大の焦点となった。
 ただし、構図は必ずしも「日産ディーゼルvs.それ以外のメーカー」というわけではない。まだ最終的にどの方式にするか、態度を決めかねているメーカーもあるからだ。平成17年(新長期)排出ガス規制は2005年秋から施行されるが、既存車両の場合はさらにその1年先までに対応すればいい。しばらくは、他社の動向を眺めながらの神経戦が続く。
 日産ディーゼルは200MPaという高い燃料噴射圧と、尿素でNOxを還元する尿素SCRシステムを日本で初めて搭載し、2005年から施行されるディーゼルトラックの新長期排ガス規制をクリアした新大型トラック「Quon」を出展した。同社はその後、2004年11月19日にQuonを発売している。

燃費がメリットのSCR
 同社の大型トラックとしては、約15年ぶりの全面改良になる。尿素SCRシステムについてはpp.183~189の「インサイド・ストーリー」で詳しく紹介しているが、最大の特徴は、従来型車に比べて燃費を約10%向上させたこと。1年に10万km走行する場合、尿素水のコストを考慮に入れても、年間の燃料コストを約12万円節約できる。
 セミハイルーフを標準にするとともに、フロントウインドーとサイドウインドーの角度を立てることで、国内の大型トラックでは最大の室内空間を実現したという。また、国産トラックでは初の、チルト時に前に65°傾く整備性の高いキャビン(従来車より+20°)や、トラックでは世界初のニーエアバッグを装備する。
 一方で、SCRシステムに最も否定的だったのは日野自動車。日産ディーゼルは、尿素SCRシステムによって大幅な燃費の向上が図れるとしているが、日野はEGR+DPFでも燃費は確保できるとしている。そうすると、尿素SCRシステムのほうが、DPFよりもコストが高いというデメリットだけが残るという見方だ。また、ユーザーが尿素を補給しなければならないのは煩わしいと指摘する。いすゞ自動車もEGR+DPFの新長期規制対応エンジンを出展した。ただしSCRもインフラが整えば有望との見方を示した。

日経オートモーティブ イベントレポート
図●平成17年(新長期)排出ガス規制に対応する二つの道
日産ディーゼルは超高圧噴射によってまずPMを減らし、次に尿素SCR触媒でNOxを窒素と水に還元するという考え方。対して日野自動車、いすゞはEGRによりNOxを減らし、排出ガスに残るPMを、DPFで処理することで規制に対応する。