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日経オートモーティブ 解説

これまで部品別が主流だった自動車の開発組織に大きな転機が訪れようとしている。車両の機能別に組織を再編成しようという動きが出てきたのだ。メーカー間の競争がますます厳しくなり、商品の特徴を際立たせるためにはそれに合った組織形態が必要になってきたのがその理由。ドイツに本拠を置くコンサルティング会社であるローランド・ベルガーのコンサルタントが大規模な調査をもとにレポートする。(本誌)

 自動車メーカーの開発を取り巻く環境は年々厳しくなっている。市場の細分化が進み、メーカーはこれまで以上に多くの車種を市場に投入しなければならなくなった。車載機能もますます多く、複雑になってきている。増大する車載機能の多くは電子技術主導で開発されており、今までの機械技術主導の開発とは勝手が違う。市場の変化に迅速に対応するために開発期間を短縮しなければならないし、厳しさを増す環境や安全規制にも対応しなければならない。その一方で、コストを抑えなければ市場での競争に勝ち残れない。

1.1倍の人員でモデル数は2.5倍
 実際、欧州の状況を見ると、投入モデル数が1998年比で2004年には1.8倍に増えたのに対し、開発人員は11%しか増えていない。2008年には投入モデル数が1998年比で2.5倍に増えるのに対して開発人員は13%しか増えないと見込まれている。単純に計算すると、10年間で開発人員の生産性を2倍以上にしなければ、計画に追い付かないことになる。自動車に搭載する機能が今後も増大することを考慮すると、実質的には3倍、4倍の生産性を達成しなければ、計画通りのモデル投入は不可能だろう。
 厳しい予算制約下で、開発負荷の増大をいかに管理するかということは自動車メーカーの開発部門が直面している最大の課題の一つであろう(図)。
 こうした問題認識の下、当社は2004年、自動車メーカーの開発組織が今後どのようになっていくのか、グローバルスタディーを行った。そのスタディーの結果、濃淡に地域差はあるものの、七つの大きな方向性が確認された。フロントローディング(前倒し検討)や部品メーカーの巻き込みなど、日本が世界の他の地域より進んでいる点もあるが、その他の点では他地域の動向も参考になろう。
 本稿ではこの七つの方向性の中で、特に「車両特性志向」と「エレクトロニクス開発能力の強化」に焦点を当てて、今後の開発組織の在り方について展望したい。

日経オートモーティブ 解説
図●開発部門の直面する課題
厳しい予算制約下で、増大する開発負荷に対応しなければならない。