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日経ものづくり ソニーのシックスシグマ

新シリーズ

ソニーのシックスシグマ

第一回 つまずきを越えて

奥田 啓之
ソニーイーエムシーエス 経営管理部門 経営品質部 SSS担当部長

マネジメントツールとして
自社流にアレンジ

製品や業務などアウトプットの品質を改善する手法のシックスシグマ。今でこそ,ソニーグループにとって経営品質を高めるマネジメントツールとして定着しているが,そこに至るまでの道のりは険しかった。導入当初は,製造部門の品質改善にしか利用されず,適用は広がらなかった。それを変えたのが,自社流へのアレンジだった。(本誌)

 「シックスシグマ(6σ)」という言葉を聞いて,まず何を思い浮かべるだろうか―。
 一番多いのが「シックスシグマは品質改善手法」というものだと思う。しかし,これは適切ではない。
 確かに,シックスシグマは,本をただせば米Motorola社が日本のQC(Quality Control)活動を手本に1987年に開発した製品品質向上の手法である。欠陥品の発生確率を「6σ=100万分の3.4」にすることを目標としたことからこの名前が付いた。既存の「プロセス」を測定し,分析/改善して標準化し,それによって対象とするアウトプットの品質を改善していく。
 そうしたやり方が,比較的「プロセス」というものがハッキリしたものづくりの現場で理解しやすく,シックスシグマはものづくりのための手法という誤解を生んだのである。そして,さらに「シグマ」という言葉が統計用語だったこともあり,シックスシグマは統計手法,すなわち「ものづくりのためだけの品質改善手法」と勘違いされるに至ったのである。
 しかし,米General Electric(GE)社などの例からも分かるように,シックスシグマは,製品の品質改善だけでなく,開発,財務,ロジスティックス,営業,さらにカスタマーサポート部門など,企業活動のあらゆる場面で適用できるマネジメントツールなのである。
 今回から3回に分けて,ソニーにおけるシックスシグマの導入/全社展開/定着の取り組みと,その効果や意義,および活用していく上でのポイントについて紹介する。