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日経ものづくり アイデアコーナー

自動増力ユニット 【SMC】

はすば歯車で遊星歯車機構の内歯車をスライド

 一定の動力から大きな回転力を得ようとした場合,入力軸から出力軸への減速比を大きくすればよい。しかし,減速比を大きくすると出力軸の回転数も低くなってしまう。
 そこでSMCは,負荷に応じて自動的にギア比が変わる「自動増力ユニット」を開発した(図)。通常は,入力軸と出力軸は1対1で回転するが,出力軸に大きな負荷が加わると3対1のギア比に変化し,大きな回転力を発生できるようになる。
 同ユニットには遊星歯車機構が組み込んであり,入力軸が太陽歯車(外歯車)と,出力軸が遊星キャリアとつながっている。特徴的なのは,太陽歯車(内歯車)を含めてすべての歯車がはすば歯車となっている点。また遊星キャリアには,隣り合う遊星歯車のすき間を埋めるような突起が付いている。
 遊星歯車機構を密閉された円筒形の容器に収め,容器内には粘性の高い液体を封入しておく。入力軸および出力軸は円筒形の両端面を貫通し,貫通部はシールしておく。

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図●負荷に応じてギア比が変わる自動増力ユニット
はすば歯車で構成した遊星歯車機構と,その太陽歯車(内歯車)の側面とかみ合う「ロックアップリング」によってギア比を変更する。


電動グリッパ 【太陽鉄工】

らせん状のカム溝で位置制御が容易に

 製造装置でワークのハンドリングなどに使う電動グリッパ。太陽鉄工は,らせん状のカム溝を刻んだ円板を回転させることによって把持部(ハンド部材)を移動させる機構を取り入れ,小型・軽量化した(図)。
 通常,電動グリッパは,ステッピングモータに連結したボールねじやピニオンギアを使ってハンド部材を駆動する。しかし,電子部品のような小さなワークを把持・搬送するなら,小さなグリッパが望ましい。グリッパが大きくなると,それを支えるアームも剛性が必要になり装置が大型化してしまうからだ。そこで,小型でシンプルな機構ながら,把持力や把持速度の制御が容易なグリッパを開発した。
 1枚の円板状の「カム板」の回転で,二つのハンド部材を駆動するシングルカムタイプのグリッパで説明しよう。カム板には,厚み方向に貫通したらせん状のカム溝を2本設け,そこにハンド部材と連結した「駆動ピン」をはめ込んだ。ハンド部材はガイドレールで挟み込んであり,1次元的にしか移動しない。また,駆動ピンとカム溝とのはめ合い部分をベアリングとすることで,滑らかなしゅう動を確保している。

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図●カム方式の電動グリッパ
従来のボールねじやピニオンギアに代わって,把持部(ハンド部材)の駆動にカム機構を採用した。写真は,シングルカムタイプ。1個のステッピングモータと1枚のカムで,二つのハンド部材を駆動する。


ろ過フィルタの洗浄機構 【大生工業】

ピストンを使って逆流の圧力を高める

 フィルタを使って油などをろ過する場合,長く使い続けるとフィルタが目詰まりしてしまう。フィルタにたまった固形物を取り除く方法として,液体がフィルタを通過する方向をろ過時と逆にする方法がある。しかし,ろ過する際に使用しているポンプでは,短時間に大きな圧力を加えるのは難しい。
 そこで大生工業(本社東京)は,ピストンを使って逆流の圧力を高める洗浄機構を考案した(図)。円筒形フィルタの内側にシリンダを配置し,ピストンを空気圧で上下させる。
 ろ過時にはシリンダ内に空気は入っておらず,ピストンは最下点に位置している。使用済みの油は円筒形フィルタの外側から流れ込み,ろ過されて排出される〔図(a)〕。
 逆流洗浄時にはまず,排出口の弁を閉じる。その上で,シリンダに圧縮空気を送り込み,ピストンを上昇させる〔図(b)〕。すると,シリンダ内にあった油が排出され,円筒形フィルタの内部が高圧になる。

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図●ピストンを使った逆流洗浄機構
(a)ろ過時は,円筒形のフィルタの外側から油を流し込み,内側から洗浄後の油を取り出す。(b)逆流洗浄時にはまず,取り出し口の弁を閉じると同時に,取り込み口の弁を切り替えて洗浄後の油を回収できるようにする。その上で,フィルタの内側に設置したピストンを圧縮空気で上昇させ,フィルタの内側から外側に高圧で油を送り出す。