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日経ものづくり 現代ものづくり考

スチームオーブン

「水で焼く」という逆転の発想
健康志向の高い中高年に訴求

高村 敦(電通・消費者研究センター 主管)

 スチームオーブン市場がヒートアップしている。
 2004年にシャープが先陣を切って以来,各社が続々と商品を投入。普及率が96%に達する成熟商品である電子レンジをはじめとする加熱調理器市場は「水で焼く」という新たなコンセプトでにぎわいを見せている。通常の電子レンジの2倍近い高額商品ながら,2005年度中には加熱調理器全体におけるシェアが1割程度に達するとみられ,日立ホーム&ライフソリューション(日立H&L)では「5年後には30%以上」になると強気の予測をしている。
 スチームオーブンは,高温の水蒸気を食品に直接噴射して温めるという,全く新しい調理器具だ。売りは「健康」。食材の余分な脂や塩分をカットし,しかも風味を損なうことがない。先駆者のシャープ「ヘルシオ」は,ステーキならフライパン調理よりも約13%,鶏の空揚げなら約18%もカロリーがカットできるとしている。また,塩ざけなら22%の減塩効果がある。こうした機能が高血圧や肥満といった生活習慣病を気にする中高年にアピールし,買い替え需要での購入促進に結び付いた。
 確かに,ますます健康志向を高めている日本人には,こうした減カロリー・減塩機能は魅力であろう。ただ一方で,かつて電子レンジが登場したとき「火を使わない20世紀の夢の調理器」という魔法のような技術が消費者の心をとらえたように,「水で焼く」という一種のパラドックス的な技術が強くアピールした面もあるだろう。斬新な技術開発は,いつの時代にも消費者の夢と「使ってみたい」というワクワク感を喚起することができるのだ。

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スチームオーブンの「AX-HC2」(左上,シャープ),「NE-SS30」(中央,松下電器産業),「RO-B1C」(右上,三菱電機),「MRO-AX10」(左下,日立ホーム&ライフソリューション),「ER-C300」(右下,東芝コンシューママーケティング)