“FPDテレビ・マラソン”

西岡幸一の産業俯瞰

　冬はマラソンの季節だ。ごく最近も「大阪女子」，「別府大分」，「東京国際」など毎週どこかで国際大会が開かれている。筆者の近くでも先日，高橋尚子選手らを招いて市民参加の「千葉マラソン大会」が開かれ，マンションの横の大通りを大勢の選手が駆け抜けた。選手の表情を見ると，折り返し点までの行きは走るフォームも…

LSIのトランジスタを不要にする，“原子スイッチ”の動作を実証

不揮発性メモリーを試作

　LSIからトランジスタを不要にする“原子スイッチ”が，現実味を帯びてきた。原子スイッチとは，原子の移動を制御することでトランジスタの代わりを果たすデバイスである。今回，物質・材料研究機構（NIMS）ナノマテリアル研究所所長の青野正和氏らのグループが，科学技術振興機構（JST），理化学研究所と共同で…

ストラクチャードASIC市場，米Alteraの本格参入で波乱を呼ぶ

「EDSF 2005」でマスタースライスLSIが話題に

　ストラクチャードASIC市場にFPGA（filed programmable gate array）メーカーの米Altera Corp.が本格参入したことで，先行するASICメーカーとの間であつれきが生じている。ストラクチャードASICは，FPGAとセルベースLSIの間を埋めるチップとして，複数の…

DRAM混載に匹敵する転送速度を，無線のチップ間接続で達成

「ISSCC 2005」で注目

　無線によるチップ間の積層接続技術が，「2005 International Solid-State Circuits Conference（ISSCC 2005）」で注目を集めた。これまでも無線接続のアイデアは出ていたが，ここへ来て実際のテスト・チップを使って動作を実証した事例が相次いでいる。例え…

Samsung業績をキヤノンと比較，見えてくる強みと苦悩

次は「テレビ」，「プリンタ」，「バイオ」へ

　「メモリー」，「液晶パネル」，「携帯電話機」。韓国Samsung Electronics Co., Ltd.の2004年の利益は1兆円を超えたが，それを支えたのが上記の3事業である。個々の業界でシェアを伸ばし，市場で覇権を握った同社が，一段の業容拡大のために次に注力するのが「テレビ」，「プリンタ」…

プロセス微細化で重要度が上がる回路シミュレータ，マクロセルやEDAモデル開発には欠かせない

半導体プロセスが微細化してさまざまな物理現象があらわになり，それをトランジスタ・レベルで解析する回路シミュレータの重要度が上がっている。回路シミュレータは1970年代に登場し，EDA（electronic design automation）ツールの元祖的な存在である。現在でも，SoC（system…

MEMSデバイスを体内に入れ，メスを使わず“ピン・ポイント”治療

『フルHD』

　“フルHD”が，大画面テレビ向けフラットパネル・ディスプレイ（FPD）の必要条件として急浮上してきた。フルHDパネルとは，フルスペックのHDTV（high definition television）信号を間引くことなくプログレッシブ表示できる1920×1080画素のパネルを指す。垂直方向の画素数…

「リビングの主役の座は譲らない」

「PDPで，大画面テレビ市場を一気に攻めるための準備が整った」。PDPモジュール製造会社の連結子会社化や，松下電器産業との協業という一連の再編劇について，日立製作所でPDP事業を率いる井本義之氏はこう説明する。2008～2010年に「1型＝5000円」に対応するコスト力を付けることで，「リビングの主…

フード・チェーンの完結が日本の強み

　世界各国におけるMEMS（micro electro mechanical systems）の技術やデバイス市場を調査している立場から，その動向をグローバルな視点で連載形式により紹介する。第1回目の今回は，世界の中における日本のMEMS産業について述べる。

台湾CMOの2005年事業計画，2000万枚の液晶パネルを出荷

　台湾Chi Mei Optoelectronics Corp.（CMO）は，2005年の事業計画を発表した。同社は2005年第1四半期に，「Fab3」（第5世代）の最大生産能力を12万シート/月へ拡張する。さらに25億台湾ドルを追加投資して，2005年第4四半期には14万5000シート/月に引き上…

強気の設備投資計画のTSMC，SMICはDRAM価格下落に苦しむ

　台湾Taiwan Semiconductor Manufacturing Co., Ltd.（TSMC）と中国Semiconductor Manufacturing International Corp.（SMIC）がそれぞれ2005年1月末に発表した，2005年第1四半期のガイダンスには，大きな…

アジアの存在感が増す「Pan Pac」，欧米のPbフリー化の遅れを指摘

　米国のエレクトロニクス実装関連の学会であるSMTA（Surface Mount Technology Association）が主催する「10th Annual Pan Pacific Microelectronics Symposium and Tabletop Exhibition（Pan P…

10Gビット/秒を超える時代の技術，「Design Con 2005」に見た

　2005年2月初頭，米国シリコンバレーにある「Santa Clara Convention Center」で「Design Con 2005」が開催された。半導体設計やパッケージング，プリント基板設計まで，さまざまな分野の設計エンジニアが一堂に会する，ユニークな会議/展示会である。主催はIEC（I…

2004年の世界半導体売上高　対前年比28％増の2130億米ドル　通年の過去最高を記録

　米SIA（Semiconductor Industry Association）によると，2004年通年の世界半導体売上高は，対前年比で28％増の2130億米ドルに達した。2000年の2044億米ドルを抜き，通年の売上高では過去最高である。2004年は前半が特に好調で，対前年同期比で36.5％増と…

材料で露光技術を塗り替える

　液浸ArFか，液浸F2か，あるいはEUV（extreme ultraviolet）か。32nm（hp45）以降にどの露光技術を採用するかを巡る議論が白熱している。そのような中，JSRが発表した液浸ArF露光向けの“高屈折率液体”はhp32に相当するパターンを解像し，液浸ArFのポテンシャルの高さを…

プラズマ技術を駆使し，ポーラスlow-k膜の損傷防ぐ

第5回 低誘電率層間絶縁膜（3）

hp65以降で必須とされているポーラス低誘電率（low-k）膜は，通常のプロセスで加工すると膜が変形・変質してしまう。このような問題を解決するために，ポーラスlow!)k膜へのダメージを抑制するプロセス技術が欠かせない。前回は低ダメージのCMP（化学的機械研磨）技術を紹介したが，最終回となる今回はレ…

LSIパッケージのコストを，その場で見積もるためのEDAツールを開発

材料革命，基板の大型化だけでは，液晶のコストは下げられない

　液晶パネルの“材料革命”が始まった。マザー・ガラス基板を大型化するだけでは，液晶パネルのコストは下げられなくなってきたためである。インクジェット法やロール・ツー・ロール法によるカラー・フィルタ，部品点数や工程数を削減した偏光板・位相差板，プリズム・シートや拡散シートを一体化した光学フィルムなどを導…

国内FPDの業界再編は序章，次は部材や台湾の企業を巻き込む

フラットパネル・ディスプレイ（FPD）業界再編に向けた国内企業間の買収や提携が，液晶パネル事業とPDP事業の両方で2005年の年明けから相次いだ。再編のポイントは，国内の主力FPDメーカーの知的財産戦略の強化である。台湾の液晶パネル・メーカーや韓国のPDPメーカーの事業拡大を阻止する効果を，国内メー…