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 伊仏STMicroelectronics社のMEMSデバイス事業を数年間で立ち上げ,現在もその責任者を務めているBenedetto Vigna氏に事業方針を聞いた。MEMSセンサー,バイオ・チップに続くのは,現在開発中の無線センサー・デバイス。これは,インターネットの新たな価値を生み出し,社会に革新をもたらす可能性があると説く。(聞き手は,三宅 常之)

1969年イタリアPotenza生まれ。1993年,University of Pisaにて原子核物理学を修了。フランスESRF(European Synchrotron Radiation Facility)およびドイツMax Planck InstituteにてX線レーザーを2年間研究後にSTに入社。イタリアの研究開発ラボに配属。同社におけるマイクロマシン事業の草分け的存在となった。米Berkeley Sensor & Actuator CenterとST Universityのビジネス・マネージメント・コースを経て,STのMEMS Business UnitのDirectorに就任。MEMS製品の設計,製造,マーケティングを担当。2007 年初旬,MEMS Business Unitの製品事業部への改編に伴い,General Managerに就任。2008年4月,Group Vice Presidentに昇格,MEMS,センサー,低電力RF(無線周波),ヘルスケア向けデバイスを担当。これまでにマイクロマシンに関する120件以上の特許を出願。Italian Scientific Research Center所長の業界顧問も務める。(写真:宮原 一郎)

任天堂のゲーム機「Wii」などに向け,加速度センサーの売り上げを伸ばしています。2008年にはMEMS事業の売り上げを対前年比2倍に増やしました。2009年以降はいかがでしょう。

 2009年の売り上げは対前年比で横ばいになるとみています。世界経済の状況から,ゲーム機に限らず幅広い応用機器の市場が停滞していることが一因です。さらに,加速度センサーの単価がわれわれの想定以上に下落しました。しかし,2010年になると,ゲーム機向けなどで新しいセンサーの需要が盛り上がり,再び成長軌道に乗るとみています。

2010年の成長に向けて,新製品を投入するわけですね。

 2009年6月にジャイロスコープ(角速度センサー)を15品種発表しました。これは,2009年後半に発表する予定でしたが,試作デバイスの出来が良かったため,6月に前倒ししました。この製品群は,ゲーム機やデジタル・カメラ,自動車用ナビゲーション・システムなど,幅広い用途に応用にできます。

ジャイロスコープ市場では競合企業が先行しています。

 これまでジャイロスコープ市場では,顧客が安心できる大手デバイス・メーカーの製品がありませんでした。大手のわれわれの参入によって,顧客は安心して採用できるようになります。デジタル・カメラ・メーカーなど顧客の評判は上々です。

競合に比べて性能面でも優れているのでしょうか。

 われわれの製品は,競合に対して二つの点で優れています。一つは,用途に応じた15品種もの製品をそろえていること。競合企業のデバイスは,種類が少なく,ユーザーがさまざまな応用に利用するためには工夫が必要になります。われわれは,要求仕様に応じて多品種を取りそろえており,応用機器に最適な仕様のデバイスを提供できます。

 もう一つは,加速度センサーと同じ製造技術を使う点です。過去4年間に5億個を量産した実績のある製造プロセスを,ジャイロスコープに適用します。当初から年間数億個を量産できます。