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試作した有機薄膜太陽電池(写真:理化学研究所の提供)
試作した有機薄膜太陽電池(写真:理化学研究所の提供)
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――有機薄膜太陽電池は耐久性がまだ低いという指摘がある。

尾坂氏 我々が研究開発する有機薄膜太陽電池は、これまで発表されてきたものに比べて優れているとみている。半導体ポリマーの結晶性が高いからだ。有機薄膜太陽電池の耐久性は、有機半導体の結晶性を高めることで向上する。耐久性と結晶性はリンクしている。熱や光による劣化は半導体ポリマーによる結晶の剛直性を高めることで抑えることができ、有機ELなどに向けて開発されている封止技術も利用できる。

――有機薄膜太陽電池の研究開発は世界的に盛んと聞く。それは本当か。

尾坂氏 確かに進化が速い分野だ。ここ1年を振り返ると、さまざまな研究グループから変換効率の高い有機薄膜太陽電池が発表されている。2013年であれば、有機薄膜太陽電池で変換効率8%を得ていれば、変換効率は「高い」部類といえた。だが、現在はそうではない。先日、私が米国で参加した学会「Materials Research Society」で発表された有機薄膜太陽電池は、変換効率8%台はざらで、9%も結構出てきた。

 以前であれば、良い成果が出たら、しばらくの間は他の研究グループに追い付かれることはなかった。しかし、世界的に開発熱が高まっている今は違う。開発スピードがかなり高まっている。

――米国では有機薄膜太陽電池への期待は高いのか。

尾坂氏 私見だが、米国における有機薄膜太陽電池への期待度は、以前に比べてトーンダウンしている印象だ。シェールガス革命によって、エネルギー調達にまつわる状況が変わったことが影響しているのであろう。

 だが、期待度がトーンダウンしているからといって、研究開発の歩みが遅くなっているわけではない。かえって加速しているくらいだ。これは推測だが、シェールガス革命の影響で「有機薄膜太陽電池の研究費が減らされるかもしれない」といった危機感が強くなり、それが有機薄膜太陽電池の研究を一層加速させているとみている。

――尾坂氏が所属する研究グループにおける、有機薄膜太陽電池の開発目標は?

尾坂氏 変換効率12%達成を一つの目標に立てている。この目標に向けて、現在9%を超えた変換効率を、1年後には10%超にまで高めたい。

【お知らせ】日経BP社が有機エレクトロニクス材料研究会(JOEM)と協力し開催するセミナー「有機エレクトロニクスの次の方向性を考える~機器や社会の変革を起こすコア技術~」(詳細はこちら)では、尾坂氏に「分子設計による半導体ポリマーの高次構造制御」という題目で、半導体ポリマーの結晶性制御や配向制御などを講演いただく予定である。他のセミナー講演者へのインタビュー記事は有機エレクトロニクス専門サイトのコラム「キーパーソンに聞く」内にあり。