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ジェムコ日本経営の高橋氏
ジェムコ日本経営の高橋氏
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 ASEANでのビジネスの拡大に伴い、日系企業の進出が加速している。しかし、海外では時には日本では想像できないような事態に見舞われることもある。例えば、2014年7月に中国で食肉偽装事件が発覚したのは記憶に新しい。タイではクーデターが発生した。いずれも日本企業も無関係というわけにはいかない。これらの事態をどうみるか。新興国を中心とした企業の海外進出に詳しい、ジェムコ日本経営取締役グローバル事業担当の高橋功吉氏に聞いた。(聞き手は吉田 勝=日経ものづくり)

――7月に中国・上海の期限切れ食肉偽装事件が話題となりました。企業のグローバル展開という点からこの事件をどうみていますか。

 今回の事件については、多くのメディアで報道され、数々の識者が見解を述べていますが、実はこの事件は企業がグローバルでオペレーションをする上で重要な「国民性を踏まえた対応の必要性」を示唆していると思います。

各国の国民性の違い

 話は少々飛びますが、私が海外各国を頻繁に訪問するようになったのは、今から20年ほど前です。当時、各国を訪問するたびに、それぞれの国の国民性の違いに唖然としたり驚きを感じたりすることが多々ありました。例えば、韓国のある企業に指導に赴いた際は、現地社員の誰もがものすごく熱心に質問してくるのにまず驚きました。しかし、もっと驚いたのは、そこで得た知識を組織で共有するという意識が全くないことでした。実際、業務のやり方は個人でマチマチ。担当者によって在庫の確認作業のやり方も違えば、使っている帳票の様式も違いました。優れた方法を組織のものにするという意識が希薄で、知識は自分だけのものという意識の強さに驚いたことを覚えています。

 中国も自己主張の強さにびっくりしました。空港でのチェックインに日本のように並んでいたのでは、いつまでたっても自分の番は回ってきません。我先にと押し分けてでも強引に進まないとチェックインできない姿に唖然としました。機内食が出たときも驚きました。自分の食器はおろか、隣の人が食べ終わった食器までを自分の鞄に押し込んで持ち帰ろうとしていたからです。オフィスもしかり。皆がいろいろと意見を言うのは良いのですが、怒鳴り合いに近い状況で議論になりません。ある意味、これらは、多くの人の中で生き残るためのすべかもしれません。

 インド出張でも同様の体験がありました。例えば、インドへ向かう飛行機の中では、インド人が我先に「食事を持ってこい」「飲み物を持ってこい」とCAを呼び出し、呼び出し音が鳴り止みません。CAが走り回っている姿がかわいそうでしたね。総じて、これらの国では、生き延びるためには自分中心にならざるを得ないという背景があります。これは企業活動にも通じていて、自分の都合ばかりを優先するため顧客のことは念頭に浮かんできません。

 特にそうした国民性が端的に表われるのが、車のクラクションを鳴らすか否かです。それは「早く行け」「どけ」という自分中心の思いの表れといえます。今でこそなくなりましたが、20年前の韓国ではクラクションを鳴らしまくっている場面によく遭遇しました。中国も規制されるまではそうでした。インドは今でも鳴りっぱなしです。