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ジェムコ日本経営の高橋氏
ジェムコ日本経営の高橋氏
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クラクションで分かる国民性

 全く逆なのがタイです。最初に訪問したのはやはり20年ほど前ですが、誰もクラクションを鳴らさないので驚いたのを覚えています。当時は、今のような高速道路網も、BTS(バンコクの高架鉄道)などの鉄道網もなくひどい渋滞でした。信号機は警官が手動で操作しており、交差点で40分以上も待つという事態もしばしばでした。でも、誰もクラクションを鳴らさない。あまりに待たされるので運転手にどうなっているのかと聞くと「おまわりさんが、ご飯を食べに行っているか、トイレに行っているのだと思います」というのんびりした返事です。全くイラつくこともなく、静かに待っている姿は、強い競争心や自己中心的な態度が顕著な他国とはあまりに対照的でした。

 他の新興国とはあまりにも違うので、いろんな人にその理由を尋ねてみました。「食べものが安くあくせくしなくても生きていけるので、そんなに競争する必要がない」「何事も"マイペンライ"*ですます国民で、イライラしても良いことはないと思っている」「仏教国で日頃から徳を積むということが大切と思っており、誰もがお寺に行ってお参りしたり修業したりしているので、些細なことでイライラすることはない。実際、約束の時間に遅れても誰も怒らない。逆に、約束の時間に来ることもない」――答えはさまざまでした。タイの街を歩いていると、貧しい子供を抱えた母親にほどこしをしている人を見かけることがあります。それもそうした国民性の表れかもしれないと感じましたね。

* マイペンライは、タイ語で、大丈夫/気にしないで/問題無い/どういたしましての意。日常的によく使われるため、おおらかな国民性を示す言葉として取り上げられることが多い。