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――予防分野では今後、消費者(患者)側の無関心層をどう取り込んでいくのかも大きな課題となります。

 例えば、「ヘルスケアポイント」のようなインセンティブ制度の議論もありますが、それで動くのは全体の5%とか10%とかの少数の人のような気がしています。自分自身、外来を担当していた経験でも、命拾いしたら通院を途中でやめてしまう人も多く、やはり喉元過ぎれば熱さを忘れる人の方が多いのが実情です。想定外を想定しろとか、リスクを感じながら生きろというのは現実的ではないですし、インセンティブうんぬんで行動変容させるというのは、一定以上の効果はないと考えています。

 一方で、大事だと思うのは、「健康に対する世話をお互い焼いてあげる」ということです。例えば、家族であれば、ちゃんとご飯を食べているかとか、野菜を食べているかとか、あるいは高齢の親に対しては、元気にしているか、と無意識に世話を焼くわけです。

 先ほどお話した、ミナケアで手掛けているコンサルティングサービスの中でも、「健康の世話焼き人」のような人を置きましょうとか、そんな話をしています。家族とか企業の中のつながりはもちろんですが、最近ではSNSなどを通して、有形無形のコミュニティーづくりがより簡単になってきています。そうした単位で世話を焼く仕組みを、どうやってヘルスケア業界に持ち込むのかということが、実は重要なファクターだと思っています。