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―御社のモジュールを組み込んだ家電なら認証を取らなくていいということですか。

 そうです。自分で一から作ると当然認証を取らなきゃいけないんです。ですのでスタートアップのベンチャーであったりとか、メーカーさんが自分たちでやろうとすると認証が非常に面倒なんですが、我々と組むとその辺がすごく簡単になります。

―BLEモジュールを作っている会社が、貴社のアプリと連携できるモジュールを作りたいと言ってきたら、どうします。

 喜んで(受けます)。実は我々の中で半分冗談で話していたのが、中国のどっかのネットカフェでうちのモジュールの設計図とバイナリーを流出させたらどうだろういう案です。それを使ったコピー品が出てくれば、モジュールを作らなくて済むからいいよね、っていう話です。我々としてはハードウエアを作るのがメインの商売ではないので、専門メーカーが作ってくれれば、もうそれに越したことはない。

―モジュールは誰かが作ってくれて、最終的には御社のクラウドにつなぎにきてくれればいい、っていうことですよね?

そうですね。

―じゃあ、あんまりビジネス的にぶつかりそうな相手はいないというのが現在の状況だと。

 今はないですね。一番恐れていたのは、我々とまったく同じビジネスモデルをやるところがシリコンバレーで出てくることでした。真似されるのがいやなので、ずっとステルスモードでそういう話をしてこなかったんです。でも、2014年11月に(浄水器メーカーの)Aquasanaが(我々のBLEモジュールを採用する)製品を発表しました。ああもうこれはもうバレバレだってことで、今からもうとにかく取れる客は全部取りにいこうと、今、積極的に動いているんです。

―営業の感触はどうですか。

 すごくいいタイミングになってきていると感じています。最初に営業に行っていた頃、一番苦労していたのは、BLEモジュールを入れるとなると、とにかくお客さんがリモコンにしたがるということでした。遠隔からスマホで家電をコントロールするという概念が、メーカーの皆さんにずっと染み付いていて。コーヒーマシーンだったらコーヒーの抽出の方法をパラメーターで全部セットしたいとか、ご飯釜だとインターネットからレシピをダウンロードしたいとおっしゃってくる。「ご飯が炊けたよ」とか、「もう12時間たったからそろそろチャーハンか何かにして食べなきゃダメだよ」とか教えてくれるだけで十分ではないでしょうかと提案しても、理解してもらえませんでした。

 例えば、ある大手の日本の家電メーカーから、空気清浄機でうちのモジュールを使いたいという話がありました。会って話を聞いたら、スマホにつながる究極の空気清浄機を作りたいと。空気清浄機のすべてのパラメーターをユーザーがスマホから設定して、除菌のタイミングなども全部制御できるようにしたいという。でも、そんなことユーザーはしないと思うんですね。スマホから空気清浄機をコントロールできる機能で、唯一欲しいとしたら、ターボモードへの切り替えぐらいじゃないでしょうかとそのときは話しました。焼き肉したりして部屋が煙たかったり、においがしたりしたとき、すぐにターボモードで5分ぐらい動かせる機能があればうれしいのではないかと。でも、だめなんですよ。やりたいんですよね。どうしても。

 一方、欧州のメーカーはすごくシンプルに理解してくれます。「コーヒーができたのを教えてくれるの?それ、いいじゃない。やろうよ」みたいな感じで。「水切れを教えてくれるの。フィルター交換を教えてくれるの。あ、もうすごい便利だね。しかも、それでフィルターの購買サイトに飛んで買ってくれて、売り上げが増えるからさらにいいじゃない」と言ってくださるわけです。米国でもそういうシンプルな機能は受けます。だから、日本と比べて非常に立ち上がりが早かった。

 最近ちょっと追い風になってるのが無線LANを内蔵した機種が何機種が出始めていることです。これが非常にユーザーの評判が悪い。何で評判が悪いかっていうと、まず、とても接続が大変。WEPキーだ、何だとかってそういうのをセットアップしたりするので、みんなうまくいかない。そもそも空気清浄器のフィルター交換とか加湿器の水の補給のアラートを外出先で受ける意味がないわけですよ。無線LANでインターネットにつながっている意味は全然ないんです。家にいるときにBluetoothが届けばいいではないかと。Bluetoothだってけっこう飛びますから。ビーコンだと平気で100mぐらい飛んじゃいます。そのときに音が鳴って、「水入れなきゃ」っていう方が絶対にいい。旅行先でも空気清浄器のフィルターを交換してくださいみたいなアラームが出てもどうしようもない。邪魔なだけです。

 以前、「無線LANじゃないとだめだ」といって追い返された米国の会社から、最近、もう一度アプリックスの提案を聞きたいという連絡もありましたよ。IoT(Internet of Things)が話題になって、失敗例も幾つか出てき始めたりとかしてるので、それが追い風になっています。おかげさまで、周辺は慌ただしくなってきてます。