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前回は,アナログ技術者にとって重要性が増しているデジタル-アナログ境界技術のうち,デジタル‐アナログ混載LSIにおけるノイズ結合問題について解説しました。今回は,EMI(電磁妨害)を取り上げます。特に,デジタルICの出力に着目したEMI発生の原理と対策を解説します。(連載の目次はこちら

 EMI(electro magnetic interference,不要輻射)は,いわゆる電磁波がエレクトロニクス製品から漏れ出る問題です。EMI対策は往々にして,事後対策と考えられがちでした。「後で何とかなる」といって理屈を考えない後手の対策に頼るその結末には,「米FCC(Federal Communications Commission)規制値をクリアできない」という大きな危険が待ちかまえています。実際このことで製品の発売が遅れ,事業の撤退という最悪の事態となった例もありました。

 電磁波は不可解なもの,という印象があるかもしれませんが,電磁気学の理屈に従って発生し,そして伝播します。ここではEMI発生の原理的な部分から出発して,より広く応用が効くシンプルなモデルを解説します。そして具体的な例として,デジタルICのクロック出力についてEMIレベルを簡単な計算で算出できることを示したいと思います。

発生源のプリミティブモデルは二つだけ

 電磁波発生は振動する電界または磁界が基になりますが,これらは微小電気双極子と微小磁気双極子というプリミティブな二つのモデルだけに分解して説明ができます。現実の大きさを持ったものでも,この微小双極子の集合体として表現できるはずだと考えるわけです注3-1)。ですからこの微小なモデルの理解さえあれば,幾らでも具体的な応用展開ができるはずです。

注3-1)微小電気双極子と微小磁気双極子について,詳しくは『高周波電磁気学』(三輪進著,東京電機大学出版局,1992年)に説明されています。

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