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前回は,A-D変換器のトラブルシューティングを取り上げました。今回は,ミックスド・シグナルICのトラブル事例と現場で役立つ技術を紹介します。(連載の目次はこちら

よく発生する問題

 高性能のアナログ-デジタル混在回路を搭載する電子機器は,増える一方です。例えば,携帯電話機や基地局などの無線通信,工業計測,産業機器の各分野において,高性能化と小型化が同時に進んでいます。デジタル・ストレージ・オシロスコープ(DSO),スペクトラム・アナライザといった計測機器でも,一昔前にはベンチトップでしか実現できなかったような測定が携帯可能な普及機で可能になりました。これに伴って,高精度で高速なアナログICが,さまざまな分野から求められています。

 これらのアナログICは,デジタル回路の低電圧化に合わせ,低電圧で駆動するようになりました。以前は±15Vや±10Vでしたが,±5Vや単一5V,あるいは3V以下で設計するようになって,信号振幅が一気に1/2,1/3に狭まりました。

 雑音レベルも同様に小さくなってくれるのならば少しは救われますが,こちらはそれほど変わってくれません。これはエンジニアにとっては厄介なことであり,雑音に関しては,ますます神経を使って設計しなければならなくなりました。特にアナログ信号とデジタル信号が混在するミックスド・シグナル回路の場合,デジタル回路で発生する広帯域にわたるデジタル雑音が,本来静かでなければならないアナログ回路の電源やグラウンド(接地)に混入して影響するケースが多々見受けられます。

 エンジニアは,機器の小型化や低電圧化,デジタル回路からの雑音増大といった逆境ともいえる状況で,さらなる高速化,高分解能化を達成しなければなりません。こうした中,アナログICメーカーは,さまざまな相談を受けるようになりました。

 最近増えているのは,A‐D変換器やD‐A変換器などのミックスド・シグナルICについて,「データシートに規定されている精度や歪みなどの性能がなかなか得られない」というような問い合わせです。そのようなトラブルの中でも,特に最近特に目立っている雑音の問題について解説します。

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