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 次に,図3(b)のQPSKを見てみましょう。BPSKではIチャネルしか使いませんでしたが,QPSKではQチャネルも利用します。Qチャネルは⑥の直交変調器で正弦波(sine,サイン)になります。余弦波とは90度位相が違うので,QチャネルはIチャネルと「直交している」といいます。

 ここで,「1101」という4ビットのデータを変調器に入力したときを考えましょう(図4)。まず先頭の「11」の2ビットのデータをQPSKでデジタル変調すると,図3(b)で第1象限の信号点になります。つまりIチャネルに+1,Qチャネルに+1の信号が同時に送られます。次に「01」というデータが来ます。これは第2象限の信号点になり,Iチャネルに─1,Qチャネルに+1の信号が送られることになります。

図4 データ「1101」をQPSKでデジタル変調したときの変調例
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 つまりIチャネルには+1と─1が,Qチャネルには+1と+1の信号が続いて送られます。これらの信号は⑥の直交変調器で,それぞれ余弦波(+1)と位相が180度違う余弦波(─1),正弦波(+1)と位相が変わらない正弦波(+1),となります。

 BPSKではIチャネルしか使わず,QPSKではIチャネルとQチャネルの両方を使いますので,伝送速度はQPSKの方が高めやすいといえます。ただし,図3(d)に示されるように誤り耐性には弱くなります。

 図3(c)は16値QAM(quadrature amplitude modulation)の例です。信号の振幅(原点からの距離)と位相(軸からの角度)を細かく制御することでマッピングされる信号点の数を多くしており,高速伝送が一層可能になりますが,やはり誤り耐性には弱くなります。

 ちなみに,Iチャネルは同相成分(in-phase,x軸),Qチャネルは直交成分(quadrature-phase,y軸)を示します。

③デジタル・フィルタ(送信)

 変調器(②)で生成したIチャネルとQチャネルのデジタル信号(+1や─1)が続く列は,そのままでは実は余計な高周波成分を持っています。無線システムでは干渉を起こさないよう,システムごとに決められた規定の帯域幅で信号を送信する必要があります。このため,デジタル・フィルタで信号を鈍らせて,規定の帯域幅に収めるための整形を行う必要があります。

 このフィルタには,回路規模さえ許せばよい特性を持たせることができます。後述のローパス・フィルタと併せて送信波形の規定を満たすように用いられます。

④D-A変換器

 デジタル信号をアナログの波形に変換します。

⑤ローパス・フィルタ(送信)

 D-A変換器の出力波形を整形します。ベースバンド領域ではアナログ回路でも所望の特性を持つフィルタを設計しやすいため,上記のデジタル・フィルタと併せて,信号を規定の帯域に収める役割を果たします。