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連載の第11~13回では,トランジスタのソース・ドレインなどを形成する不純物導入プロセスを取り上げる。不純物導入プロセスは,半導体をn型とp型に作り分ける技術であり,トランジスタの多くの部位に使われている。このため,このプロセスはトランジスタの微細化や高性能化を大きく左右する。不純物を正確に導入するために,不純物イオンをウエーハに衝突させて埋め込むイオン打ち込み技術と,埋め込まれた不純物をSiと結合させるアニール技術の二つが必要になる。それぞれの技術について,これまでの歴史や技術的な変遷,最新の開発動向を紹介する。

 Siに不純物を導入するプロセスは,トランジスタの微細化・高性能化を進める上でカギを握る。そもそも不純物導入とは,電子を流すn型Siと,正孔を流すp型Siを1枚のSiウエーハ中に作り分ける技術である。トランジスタを構成するソース・ドレインやチャネル,ゲートなど多くの部位は不純物導入プロセスによって形成する。このため,不純物導入プロセスはトランジスタ性能に大きな影響を及ぼす。

 今後,トランジスタを微細化・高性能化していくためには,特にソース・ドレイン部の不純物導入を正確に制御する必要がある(図1)1)~4)。ソース・ドレインに導入した不純物が横方向に広がってしまうと,ソースとドレインが接近しすぎ,リーク電流が増える。このため,不純物導入時の横方向の広がりを抑えなくてはならない。通常,不純物は横方向にも深さ方向にも同じように広がるので,実際には測定しやすい深さ方向の広がりを減らす。ただし,深さ方向に浅いソース・ドレインは電気抵抗が高くなってしまうので,不純物の濃度を高めて低抵抗化する必要がある。

図1●ソース・ドレインの不純物は浅く高濃度に
MOSトランジスタの断面構造とソース・ドレイン領域に必要な不純物分布を示した。ソース・ドレイン領域は浅く,高濃度に不純物を導入する必要がある。本誌が作成。
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 このように不純物を浅く高濃度に導入するためには,不純物イオンを電界で加速してウエーハに打ち込むイオン打ち込み技術と,打ち込んだ不純物をSiと結合させるアニール技術のそれぞれを改良していく必要がある(図2)。

図2●イオン打ち込み技術とアニール技術がそれぞれ進化
不純物の導入法は電気炉を使った方式からイオン打ち込み技術に変わった。アニール法も電気炉による方式からランプで加熱する方式に進化した。本誌が作成。
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