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 ビジネスパーソンの必須知識として、よく挙げられるキーワードが3つあります。「英語」「IT」、そして「会計(財務)」です。

 この3つの必須知識の中で英語は、学習意欲が比較的高いトピックだと思います。グローバル企業にお勤めのエンジニアであれば、仕事で英語に触れる機会は日常的にあるでしょう。そうでない方でも、一度は自己啓発で英語の学習を考えたことがあると思います。

 ITはPCを駆使して日々の業務にあたっているエンジニアにとって、それほど苦手意識をもつトピックではないように感じます。もし仮に仕事で接点が無くても、プライベートでスマホやタブレットPCにいろいろなアプリを入れて使っているだけで、無意識のうちに最新のITサービスを使いこなしていることもあります。そういう意味では、エンジニアに限らず、現代のビジネスパーソンにとってITは非常に身近なトピックだと言えそうです。

 では、最後の「会計」はどうでしょう。エンジニアの皆さんにとって、「英語」「IT」「会計」の中で「会計」がいちばん馴染みのないトピックではないでしょうか。「会計なんてエンジニアには関係ないよ」とお考えの方も多いと思います。実はこの会計、エンジニアを含む多くのビジネスパーソンが強い苦手意識を持っているのです。

 以前、筆者がエンジニア向けに会計セミナーを行った際、参加者に会計学習についてのイメージを聞いてみました。すると、こんなコメントが返ってきました。

  • 貸方に借方。減価償却費に引当金とか…。専門用語が難しくて意味がわからない。
  • 細かいルールがたくさんあって覚えきれない。
  • そもそもエンジニアの仕事に役立つようには思えない。

 なぜ、このようなネガティブなイメージを抱いてしまうのでしょうか。それは、会計の学習方法が間違っているからです。おそらく、最初に簿記や難しい会計理論の本でも読んでしまったのでしょう。エンジニアの皆さんが簿記や会計の専門用語をひとつひとつ正確に覚える必要はありませんし、公認会計士になるわけではないので細かい会計のルールを理解する必要もありません。

 エンジニアに必要なのは、会計知識というより会計の視点でコミュニケーションがとれる「会計センス」です。なぜならエンジニアにとって会計は、経営陣や経営企画部門、マーケティング部門とコミュニケーションを図る上でとても役に立つ共通言語だからです。

 例えば、新製品開発やコスト削減のプロジェクトリーダーであれば、会計という経営の共通言語を駆使して現状の課題や今後の対応策を説明できなければなりません。経営会議などに出席する管理職クラスであれば、なおさらです。「エンジニアなので会計のことは分かりません」では、残念ながらビジネスパーソンとしてのコミュニケーション能力は低いと評価されてしまうのです。企業の創造力の源泉であるエンジニアが組織内で存在感を発揮する上で、会計センスは欠かせないのです。

 この連載では、会計の細かい用語やルールにはフォーカスせず、会計の全体像と活かし方を学ぶことを重視します。会計センスを身に付け、エンジニアとして、そしてビジネスパーソンとしてステップアップしていきましょう。