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ペン入力を手軽に実現

 こうした新規用途にタッチ・パネルが広がる可能性が高まった背景には、タッチ・パネルの使い勝手を高めるペン入力などの技術や大型化の技術などが出そろってきたことがある。ボールペンや鉛筆で紙に描くのと同じように文字や図形を手軽にディスプレイ上の画面に描けるようになれば、スマートフォンやタブレット端末は「情報閲覧ツールから、ノートのような文房具に進化する」。入力インタフェース技術の専門家である電気通信大学 情報理工学部 総合情報学科准教授の梶本裕之氏は、このように指摘する。ここで切り札となるのがペン入力技術だ。ペン入力技術はこれまでにもあったが、デジタイザと呼ばれるセンサ板をディスプレイの背面に追加したり、電磁誘導式の専用ペンを使ったりする必要があった。

 このような課題を解決したのがシャープである。同社は、デジタイザを追加することなく、一般的なペンや鉛筆でも入力できるタッチ・パネル技術を開発した。ペンは指とは異なり先端が細いため、タッチ・パネルに触れてもセンサ電極間の容量変化が小さく、タッチの有無を検出することが難しい。これを解決するために、同社は新しい駆動方式を導入し、タッチ検出のための信号を大きくした。

 従来は配線1ラインずつ順番に駆動して信号を読み取っていたが、今回は複数ラインを同時に駆動して信号を読み取る並列駆動方式を採用した。こうすることで各ラインの信号読み取り期間が長くなり、出力が増す。直径1mmの細いペンでも入力可能だ。この方式だと、画面サイズが70型に大型化しても感度を維持できるという。さらに、ノイズを認識して信号のみを増幅するノイズ低減技術も導入している(図3)。

図3 分解能の向上でペン入力を実現
図3 分解能の向上でペン入力を実現
直径1mmの細いペン先でも入力できるタッチ・パネル技術をシャープが開発した。従来の逐次駆動方式に替えて並列駆動方式を採用することで、高いS/Nを実現している。(図:シャープ)
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 シャープは2013年3月にこの技術を使ったタッチ・パネルの量産を開始しており、2014年2月に米国サンフランシスコで開催される国際会議「IEEE International Solid-State Circuits Conference(ISSCC)2014」で技術の詳細を発表する予定である。