3.8倍の振動で崩壊
実験は次のような手順で進めた。まず、構造体の鉄骨が変化しない弾性変形の範囲で振動を与える(図6)。次にある力以上から変位量と復元力が比例しなくなる弾塑性応答領域にまで揺らす。ここまでは設計段階で想定されるレベルである。
さらにここから、弾性力を失う「想定外」の領域まで揺らし、構造体が崩壊するまで振動を増大させていく。
第1段階の弾性変形の領域、弾塑性応答領域の振動は想定通りの結果となった。具体的には81cm/sの振動で梁端の一部が塑性化し、弾塑性応答領域に至った(表1)。
さらに、設計上の想定外となる3連動地震の平均波では塑性化が進展。さらに最大値では一部残留変形が残るまでに到達した。ただし、構造体全体としては直立しており、3連動地震が到来しても、倒壊するまでには至らないことが確認された。
この後、平均波の2倍(220cm/s)、2.27倍(250cm/s)、2.73倍(300cm/s)、3.1倍(340cm/s)と加振レベルを上げていったが結局倒壊には至らず、E-ディフェンスの限界能力である3.8倍(420cm/s)の振動を3回与えてやっと崩壊した。今後はこのデータを基に、シミュレーション精度を向上させていく計画である。