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 前回(2014年5月号)、ベトナムの若者は必死に勉強することを紹介した。彼らが勉強(知識と資格を習得)する主な目的は、より良い待遇の企業に転職することだ。具体的には、「エアコンが効いている近代的な都会のオフィスで、パソコンなどの最新鋭機器を使って働く管理業務」、つまりホワイトカラーの職種を目指すのである。ベトナムでは、生産現場の仕事に従事するブルーカラーの職種に就職したら、できる限り早くその境遇から抜け出そうと勉学に励む傾向がある(図1)。

図1●ベトナムのものづくり現場
残念ながら、ベトナムでは製造現場よりもホワイトカラーの職種の方が人気がある。

 日本も20~30年ほど前は同様の傾向が強かった。ものづくりで最も大切な基盤産業を担う職場は当時、実際にその現場を見たこともない人から「3K(きつい、汚い、危険)の代表」と呼ばれ、「工学部を卒業したら、ものづくり企業ではなく金融機関へ就職する」と言う学生が増えていた。しかし、当時の日本には戦後のものづくりを支えてきた多くの職人が存在していたこともあり、基盤産業そのものの崩壊にはつながらず、世界一のものづくり大国の地位を譲らずに今に至っている。

 ところが、ベトナムは日本とは異なり、職人が少ない。その上、就職先としての人気もない。今のままでは残念ながらベトナムではものづくりで重要な基盤産業は育たない可能性が高い。