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 本コラムでは、皆さんの悩みに関してトヨタ自動車流の解決方法を回答します。同社で長年生産技術部門の管理者として多数のメンバーを導き、その後、全社を対象とする人材育成業務にも携わった経歴を持つ肌附安明氏が、皆さんの現場で参考になる実践的で具体的な解決策を提供していきます。
悩み
産業機器メーカーで開発部門の課長を務めています。ここ数年、私たちが開発している製品は機能の差が付けにくく、どこの会社も似たような製品を出していて、価格競争が厳しくなっています。幸い、社内には他に売れ筋商品があるため、会社の経営が傾くといったところまでの事態にはなっていません。しかし、部下の危機感は薄く、このままいくといつか厳しい事態になってしまうのではないかと心配しています。「トヨタ自動車の社員は危機に強い」と聞きます。どのように社員を鍛えているのでしょうか。

肌附氏―トヨタ自動車に在籍していた頃から、人材育成に関する講演や指導を数多く行ってきました。その際に受ける相談の中で、最近目立つのが「部下に危機感が乏しい」という悩みです。グローバル競争が激化し、多くの製品でコモディティー化(陳腐化)が進んでいるため、先を見ている管理者ほど焦燥感にかられるのでしょう。

編集部:リーマン・ショック、リコール問題、東日本大震災と、2008年以降トヨタ自動車には次々と危機が襲いかかりました。にもかかわらず、同社はそれらを乗り越え、2013年度には世界の自動車メーカーで初めて年間販売台数1000万台超えを実現しました。

 2009年に生じたリコール問題については、当時、記者として取材していたのでよく覚えていますが、その時は、それこそ米国や日本だけでなく世界中が「トヨタバッシング」の様相を呈するほど激しいものでした。相談者は、そうした大きな危機に直面してもなんとか乗り越えられる社員づくりに関心があるのでしょうね。

肌附氏―そのようですね。しかし、リーマン・ショックもリコール問題も東日本大震災も、経営が傾くほどの決定的な危機ではありません。トヨタ自動車にとっては、事業を継続していく上で乗り越えるべき1つひとつの壁だったに過ぎません。

 なぜ、危機ではないと言えるのか。それは、「あるべき理想の姿」に向かって常に改善を考えて実行できる「改善マインド」を持った社員集団になっているからです。危機と呼ばれる大きな課題が生じても、立ち向かっていくだけのガッツを持っている。そうした改善マインドを持った人づくりを絶え間なく行っているため、危機に陥らないという言い方ができると思います。

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