PR

 「失敗せずにプラスチックをうまく使いこなすには、どうしたらいいのだろう?」「当社で造っているプラスチック部品でトラブルが発生した。根本的な対策を知りたい」──。今、こうした声が多くの日本メーカーから上がっている。プラスチック製品を扱う現場で悩む技術者は日ごとに増えている。

 背景には、まずプラスチックの需要が増え続けていることがある。コスト削減や生産性の高さといった従来からよく知られている利点に加えて、軽量化やデザイン性の良さ、設計の自由度の高さなどプラスチックの機能面での利点までも積極的に取り込んで、これまでにない斬新な製品を設計しようとする動きが日本メーカーに見られるからだ。

 これに、生産拠点の海外シフトの影響が加わる。海外工場では、生産現場の技術水準が日本と比べて相対的に低いことが多い。従って、プラスチック製品で見舞われるトラブルも相対的に多くなるというわけだ。

 プラスチックには利点が多いが、使いこなすことが難しいという特徴もある。実は、このことは今も昔も変わらない。大きな違いは、昔は専門知識を持つベテラン社員が、しばしばプラスチック製品のトラブル防止策を施してくれたことだ。ところが今は、ベテランが定年を迎えて職場を去ってしまい、現場に十分なノウハウが残っていないというケースが増えている。加えて、設計者は必ずしもプラスチックを専門としているとは限らない。

 プラスチックは、特性を正しく把握した上で適切に設計し、成形しなければならない。プラスチックは金属などの他の材料とは異なる特性を有する。そのため、専門的な知識を習得しなければ、思わぬトラブルを招くことになりかねない。そこで、本コラムではプラスチックの基礎知識や実用性質、製品設計や成形に関する問題・トラブルとその解決法に関して連載していく。

 誌面には限りがあって、ここで全ての項目を網羅することは無理だが、ポイントを押さえていきたい。なお、他の教科書や専門書などにしばしば見られるストーリーを持たせた記述はあえて採用しない。疑問点とその解決のヒントを探すのに時間がかかるからである。

 第1回の今回は、プラスチックを扱う上で必要な基本的な知識について解説していく。