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設備自身が異常を検出

 これまで、生産設備の挙動は現場担当者が点検して状況を判断していた。例えば、手持ちのタコメーター(回転計)を使って装置の動作スピードを測定したり、振動計を用いて振動の状況を調べたりして、その結果から異常の有無を人が判断していたのである。

 同社のマヨネーズ製造ライン、特に充填ラインはこれまでも基本的には無人になっており、装置を直接操作するための人を配置していない。しかし、装置の点検や異常の判定は担当者の仕事だった。担当者は、数時間おきに決められた設備を点検し、異常がなければそれまでに生産した製品には問題がないことが保証できる(工程による品質保証)。ところが異常が判明した場合には、前回の点検時までさかのぼって、その間に生産した製品全部を再検査しなければならない。

 新たに導入した仕組みでは、異常を人が判断する前に、設備自身が判断できるようにしている。例えば、充填済みのマヨネーズ容器をフィルムで包み、熱で溶着して封をする工程がある(図3)。この工程で用いる装置(ラッパー)では、溶着のためフィルムに熱を与える部分の温度、圧力、溶着時間のデータを製品1個ごとに取得する。これらが正常範囲内に入っていれば、溶着は失敗していないと判定できる。つまり「製品ごとに設備を点検できている状態」(キユーピー生産本部生産技術部チームリーダーの伊東正彦氏)になるわけだ。

図3●パッケージのシール工程
フィルムを熱で溶着する工程は、装置の温度が高すぎても低すぎても不良になる。これまでは温度が標準範囲外にはみ出すと異常と判定していたが、これからは標準範囲外にはみ出す前に兆候をつかむことを目指す。
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