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工場にあるムダは「動作・運搬」と「停滞」しかない

書:山田思苑
写真:堀 勝志古

 我が師である(トヨタ生産方式を体系化した)大野耐一先生が1990年に逝去される前、食事をご一緒する機会を得た僕は、こんなことをお聞きしたことがある。

「理想の工場とはどのような工場でしょうか?」

「うん…」

 しばし考えられた師はこうおっしゃった。

「猿飛佐助が1人居て、忍術を使って『ドロン』と言ったら材料が製品になるような工場かな…ハハハ」

 この言葉は今も、僕の心から離れることなく残り続けている。

 工場の中には数々の工程がある。材料はそれらの工程を通るたびに加工(組み立て)され、最後の工程を通過すると製品になる。1980年代の工場では、「いかに生産性を上げるか」「いかに付加価値を高めるか」を重視し、投資をして効率の良い設備を開発・導入することが不可欠だと考えられていた。このため、多くの工場が生産技術部を設置していた。

 そんな中でも、僕の心にはいつも師の言葉があった。「工程をできるだけ無くして、忍術で製品ができるようにするにはどうすればいいのだろう」。