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 本コラムでは、皆さんの悩みに関してトヨタ自動車流の解決方法を回答します。同社で長年生産技術部門の管理者として多数のメンバーを導き、その後、全社を対象とする人材育成業務にも携わった経歴を持つ肌附安明氏が、皆さんの現場で参考になる実践的で具体的な解決策を提供していきます。
悩み
数十人規模の職場で管理者を務めています。QCD(品質・コスト・納期)に関する競争が激化する中で少しでも優位に立つべく、新たな施策を積極的に打っていきたいと思っています。ところが、部下は職務能力の高い人が多いのですが、なかなか思うように動いてくれません。比較的楽な仕事は問題ないのですが、より大きな仕事になると逃げられている感じがするのです。どうしたらよいでしょうか。

肌附氏―前回(2014年8月号)のテーマは「上司が提案を検討してくれない」という悩みでしたが、今回は「部下が動いてくれない」というもの。これもまた、多くの管理者が頭を抱える典型的な悩みの1つです。

 管理者は“プレーヤー”ではなく、多くの部下をうまく動かすことで1人のプレーヤーではできない、より大きな成果をもたらす仕事を成し遂げることが求められます。自分が直接仕事をするわけではないのですから、当然、多くの部下に動いてもらわなければなりません。それなのに、部下に動いてもらえないというのでは、ルーチンワーク(日常的な仕事)や単純作業はともかく、従来とは異なる新しい仕事を遂行することは極めて難しいと言わざるを得ないでしょう。大きな仕事になるほど、自律的に考えて動ける部下が必要です。

編集部:管理者の苦労がしのばれます。会社から与えられた目標や期待に応えなければならない半面、目標を達成できなかったときや期待に応えられなかった際には責任を取らされるのは管理者です。かつて優秀なプレーヤーだった人ほど、「部下が動かないなら、いっそのこと自分が直接その仕事をしてやろうか」などと、イライラしているかもしれませんね。

肌附氏―確かに、会社からの要求が年々厳しくなる中、管理者を務める人の負担は肉体的にも精神的にも大きくなっており、同情を禁じ得ないところはあります。しかし、本当に部下に動いてもらいたいのならば、質問者には少々耳の痛いアドバイスをしなければなりません。「部下が動いてくれない原因は、管理者自身にあるのではありませんか」と。

編集部:部下が動いてくれない責任が管理者自身にある? それは一体、どういうことでしょうか。