
第1部の冒頭で紹介したように現時点でCFRP(炭素繊維強化樹脂)活用で世界トップを快走するのがドイツBMW社である。同社が電気自動車「i3」の骨格に選択したのは熱硬化性CFRPだ。
i3の基本構造は、熱硬化性CFRPで上部の骨格を造り、アルミニウム合金製の下部シャシーと一体化させるというもの。鋼製と比べた同基本構造の軽量化効果は実に350kgに達する。
しかし、基本構造、特にCFRP骨格がもたらしたものは軽量化だけではない。クルマの製造方法や材料調達を一変させたのだ。世界初のCFRP骨格を量産車に使うには、大胆かつ細心の戦略が不可欠だった。