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 山形大学有機エレクトロニクスセンター教授の時任静士氏は、導電性を持つインクを3次元的な表面に対して印刷することで配線を形成する技術を開発した。印刷による電子回路の形成は、設備などの初期投資、材料の使用量、消費エネルギー、生産性などの点で効率的な電子デバイスの製造方法として注目が高まっている技術だが、従来は平面(2次元)への適用に限られていた*1

*1 同研究センターでは、厚さ1μm以下の極薄のフィルム上に回路を印刷する技術も開発している。このフィルムを3次元曲面に貼り付けることも可能だ。

 しかし、曲面や凹凸のある表面などへの電子回路の印刷が可能になれば、その用途は格段に広がる。「例えば、自動車や航空機のコンソール部に曲面のタッチパネルを形成したり、部品表面に印刷した配線でワイヤーハーネスを代替するなど、大きな市場が期待できる」(時任氏)*2

*2 このほか、スマートフォンの筐体へのアンテナ形成、ドーム状3次元アンテナや電磁シールドの形成、さまざまな容器表面への回路形成などの用途が考えられる。