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図1●パナソニック エコソリューションズ社ライティング事業グループR&Dセンターに所属する槻谷綾子さん
大学院の建築学部で光環境を研究し、2009年にパナソニックエコソリューションズ社に入社、ライティング事業部のR&Dセンターに配属された。同期で同センターに配属された女性技術者は2人。

 パナソニック エコソリューションズ社(本社大阪)ライティング事業グループR&Dセンターに勤務する槻谷綾子さんは、これまでの家庭向けLED照明の常識を覆した商品「美ルック(ミルック)」の開発で中核的役割を担った。「食べることが大好きで、料理をすることも大好き!」と話す、どこにでもいそうなネコ世代(30歳前後)の女性だ(図1)。

 美ルックは、「お母さんの手料理を鮮やかに照らしながら、女性の肌も白く美しく見せる」のがウリの高付加価値品だ(図2)。2014年3月に発売し、女性を中心に高い評価を得ている。

図2●住宅向けLED照明「美ルック(ミルック)」は女心をくすぐるエモーショナルな商品
槻谷さんが中心となり開発した住宅向けLED照明「美ルック」は、料理や飾られた花などを鮮やかに照らしながらも、人肌は黄ばみを抑えて美しく見せる点に特徴がある[a]。「家族に手料理をよりおいしく食べてもらいたい」「いつまでもきれいな自分でいたい」と願う女性にはうれしい商品。蛍光灯では光の波長をここまで繊細に調整することが難しかったが、LED化が家庭でも進んだことにより可能になった[b]。商品ラインアップが豊富なのも、インテリアにこだわりたい女性にはうれしい[c]。
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 美ルックのどこが業界の常識を覆しているかというと、「照明によって消費者をハッピーにする」という全く新しい価値を業界に持ち込んだことにあるだろう。これまでの住宅向け照明では、「物を明るく照らす」という本来機能ばかりが重視されてきた。しかし美ルックは、「家族に自分の手料理をよりおいしく食べてもらいたい」「いつまでもきれいな自分でいたい」と願う女性の感情に訴え掛けている。まさにエモーショナルな商品だ。

 こう聞けば、「女性技術者だからエモーショナルな商品を着想できたのか」と想像してしまいがちだが、話はそう単純ではない。美ルックの商品コンセプトは、時代の変化や当時のR&Dセンターの保有技術、商品企画部からの提案など、様々な状況が複雑に絡み合って生まれた。技術者が女性である意義は、エモーショナルな商品のコンセプトを発案することではなく、そのコンセプトを肌感覚で理解し、技術に落とし込めることの方にある。