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 米田佳代さんは、大学で機械工学、大学院ではロボット工学を学んだ「物を造るのが好き」(米田さん)なネコ世代の女性だ(図1)。2007年に日産自動車に入社し、神奈川県厚木市にある同社テクニカルセンターに勤めて8年になる。入社後は、新車種のプラットフォーム(全長や全幅などの寸法や室内空間の形状など)を管理する「車体計画」に5年間、「内装設計」に2年間在籍。2014年4月からは、第二製品開発本部第二製品開発部車両・車体計画設計グループに所属し、次期型ミニバンのバックドア設計を担当している。いわゆる「バリバリの技術者」なわけだが、パナソニックの槻谷綾子さん同様、いかにも技術者という雰囲気を感じさせない女性らしい女性だ。

図1●日産自動車第二製品開発本部第二製品開発部車両・車体計画設計グループの米田佳代さん
大学では機械工学を専攻、大学院ではロボット工学を学んだ。「生活に欠かせないモノの開発に携わりたい」と、2007年に日産自動車に入社。2004年頃から急速に女性技術者の採用を増やした同社には「既に活躍している女性技術者の先輩がたくさんいた」ことも同社を選んだ理由だ。写真は同社テクニカルセンターのエンジニアリングセンター棟のショースペースにて電気自動車「リーフ」と。

 米田さんの場合、槻谷さんとは少し異なる形で自動車の開発に貢献している。槻谷さんは家庭向けLED照明「美ルック」の開発で、自動車業界で言うところのチーフエンジニアのような権限を与えられていた。一方の米田さんは、バックドアを設計するチームの1人。1万点を超える部品から構成される自動車の開発には、数百人規模の技術者が携わる。米田さんはそのうちの1人という位置づけだが、女性技術者が構成メンバーの1人としていることで、チーム全体に好影響を及ぼしている。

 その影響の与え方は大きく2つある。1つ目は、槻谷さんの美ルックの事例と同じように、男性技術者では理解しにくい女性のエモーショナルな部分をすんなりと理解し、商品設計に落とし込める点だ。