虫歯の治療に使う冠(クラウン)などの補綴物(ほてつぶつ)をコンピューターシステムで製作する技術は、補綴物の精度の向上と製作時間の短縮に役立つ。このアイデアは1980年代からあったにもかかわらず、日本国内ではほとんど普及していなかった。ところが2014年4月の「平成26年度診療報酬改定」によって保険診療の対象となり、コンピューターで製作した冠を採用する歯科医院が現在増えつつある。
補綴物を製作するコンピューターシステムの仕組みと技術は、製造業で機械部品の加工に用いるCAD/CAMシステムと同じだ。まず、削った歯の3D形状にぴったりはまるよう、冠の形をコンピューターで設計する。できた3Dの設計データを基に切削加工機を動かす。CAD/CAMを歯科に応用したことから、システムは「デンタルCAD/CAM」と呼ばれる。