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自主性尊重と加点主義

大久保●3Mのイノベーションと新製品開発の基本である「15%カルチャー」の根底には、自主性の尊重があると、前回(2014年11月号)紹介しました。技術者や研究者にやりたいことがないと15%カルチャーは全く機能しません。それともう1つ重要なのは、加点主義です。

 15%の自由な時間を使って取り組む開発は、非公式なものなので、失敗してもマイナスの評価にはなりません。もともと挑戦的なテーマなので、全て成功するわけはない。数多くの失敗を乗り越えて、ようやく成功にたどり着くのです。そして会社の公式な仕事として認められ、顧客の事業に貢献して3Mの売り上げと収益につながったプロジェクトは、高く評価されるのです。まさに加点主義ですね。

小林●ホンダの場合は、おやじ(ホンダ創業者の本田宗一郎のこと)の考え方が引き継がれています。それは「若手には失敗を経験させろ。失敗が人を育てる」というもの。おやじが一番怒ったのは、頭で考えるだけで何もしないときです。「見もせんで、やりもせんで何が分かる」と顔を真っ赤にして怒鳴っていました。

 ですからホンダには、「まずやってみる」という文化があり、新しいことに挑戦して失敗しても、決して責められることはありません。こうした失敗は、単純ミスの繰り返しやルール違反による失敗とは次元が違います。おやじは加点主義という言葉は使いませんでしたが、イノベーションに対しては加点主義で臨んでいました。